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「いまこそ“さだまさし”の使い時だ」と… さだまさしが箭内道彦と語る「風とロック」フェスに込めた被災地への思い

さだまさしさん×箭内道彦さん#1

2024/02/03
note

「いつまで喋っているんですか」と言われるまで続く“さだトーク”

さだ 僕はあれが、初めての夏フェスで、ルールも何も知らなかったんだよね。だから、僕のバンドのセッティングに10分15分かかっているのを見て我慢できなくなっちゃって。「炎天下にお客さんをじっと待たせるなんて失礼だから、とにかく『次はさだまさし』と言ってくれ、俺がトークをしている間にバンドセッティングをしてほしい」って、ステージに出ちゃったんです。

 そして、「あなた達はUFOを信じますか」というトークをしました(笑)。会場のみんなが「UFO来てください」と大爆笑してくださっているうちに、「もういつでも行けるんですけど、さださん、いつまで喋っているんですか」とバンドメンバーに言われてやっと歌いました。あれは楽しかったなあ。

さだまさしさん

箭内 そうでしたね。「風とロック」は2009年に始めたときは、いわゆるふつうの野外フェスだったのですが、その後2011年に東日本大震災があり、被災地復興への思いを込めたイベントになりました。だから、2017年の「風とロック芋煮会」にさださんに出演いただけたときは、本当に嬉しかったのを覚えています。

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いつもの40倍のキャパで「福島の皆さんにも来ていただければ」

さだ 「風とロック」は毎年やっているけれど、今回はなぜさいたまスーパーアリーナにしたの? 通常の40倍のキャパシティだよね。

箭内 今回は特別な番外編です。「ふるさと」をテーマにしたかったので、必ずさいたまスーパーアリーナで行うと決めていました。さいたまスーパーアリーナは、2011年の東日本大震災の際、福島第一原子力発電所があった福島県双葉町の方々が避難生活を送った施設だからです。福島からは新幹線で1時間程度ですので、福島の皆さんにも来ていただければ嬉しいです。

さだ 僕らの仕事って、平和でないと成り立たない仕事。だから、災害や不測の事態が起こった時に世間のみなさまにお返しをするのは当然だし、それを続けていくことがすごく重要だと思う。

 1月1日に起きた能登半島地震では、石川県能登町や珠洲市が甚大な被害を被っています。災害はいつどこで起きるかわからないし、決して他人事ではないんです。だから、復興支援は、みんなができることを当たり前にやることが大事なんだよね。

――さださんは、東日本大震災が起きた1カ月半後にも、笑福亭鶴瓶さんと一緒に石巻へ支援に向かいました。