先週末についに最終回を迎えたNHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』では、終戦直後にラジオの英会話講座(通称『カムカム英語』)の講師を務めた実在の人物・平川唯一を、シンガーソングライターのさだまさしが演じて話題を呼んだ。その役柄から基本的に声のみの出演だったが、ドラマ終盤には顔を出して3代目ヒロインのひなた(川栄李奈)に英語を身につける秘訣を授ける役を担った。

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 さだは1988年放送の単発ドラマ『あんちゃんの恋・逃げた』(TBS系)に主演して以来、数は少ないものの、たびたびテレビドラマに出演してきた。『カムカム~』の2代目ヒロインを演じた深津絵里とも、いまから19年前に放送された『末っ子長男姉三人』(TBS系)の最終回に本人役で共演している。深津演じるヒロインが、大のさだファンの義母(岸惠子)をクリスマスに彼のトークライブに招待するという場面での登場だった。

 テレビではこのほか、NHK総合の月1回の深夜番組『今夜も生でさだまさし』のキャスターを2006年より務める。同じくNHKで四半世紀以上続く長寿番組『鶴瓶の家族に乾杯』も、もともとはさだと笑福亭鶴瓶のコンビによる旅番組『さだ・鶴瓶のぶっつけ本番二人旅』を前身として始まった。

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4月10日は、70歳の誕生日

 同番組はレギュラー化に際し、さだのスケジュールの都合から鶴瓶が単独でホストを引き受け、現在のタイトルとなったが、さだは主題歌「Birthday」(1997年)を書き下ろしている。きょう4月10日は、さだ自身の誕生日で、70歳を迎えた。今年は彼にとって1972年に吉田政美(当時・正美)とフォークデュオ「グレープ」を結成してから(レコードデビューは翌年だが)50年の節目でもある。

 その音楽の原点は3歳から始めたバイオリンで、軽音楽に転じてからはギターを弾くようになる。それだけに、本来はサウンド志向で、グレープでデビューした頃は歌詞なんてついていればいい、あくまでメロディを聴かせるんだと思っていたという。そもそも歌うようになったのも、グレープの初ライブを前に、ボーカルを吉田政美と押し付け合ったあげく、じゃんけんをして負けたからにすぎない。