2024年3月30、31日の両日にさいたまスーパーアリーナで「風とロック さいしょでさいごの スーパーアリーナ “FURUSATO” 箭内道彦60年記念企画」を開催する箭内道彦さん。二度と観ることのできない4組の対バンを通じて、ひとりひとりの“ふるさと”に思いを寄せるライブです。スペシャルゲストで登場するさだまさしさんと、公演への思いを語っていただきました。(全2回の1回目。後編を読む)

箭内道彦さん(左)とさだまさしさん

「頼まれなくても当然参加するつもりでいました」

箭内道彦さん(以下、箭内) さださん、「風とロック さいしょでさいごの スーパーアリーナ」へのご出演、ありがとうございます。さださんなら受けてくださるのでは、と思ってお願いしたものの、1秒もかからずに「いいよ」って即答いただき、感極まりました。

 でも今回、「小判」をお渡しできていないのが気になっていて……。

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 本当はちゃんと小判を渡してお願いしたかったんですけど、いま、あの小判はさださんのところにあるんですよね。

さだまさしさん(以下、さだ) そう、あるよ。でもね、今回の「風とロック」は箭内道彦60年のお祝いの企画でもあるから、頼まれなくても当然参加するつもりでいましたよ。

 それに、小判はもうちょっと大事な時に僕が使いたいから、僕が持っていていいんですよ。

ネットで探して買った小判

――すみません……、先ほどから会話に出てくる「小判」とは、何のことでしょうか。

箭内 時代劇で悪代官が「おぬしも悪よのう」と言って受け取る小判がありますよね、あれです(笑)。

 初めは、2014年に、さださんのアルバム『第二楽章』ディレクションの依頼をいただいた時から始まったんです。さださんが突然僕のところにいらして、「この度はいろいろご無理をお願いして」と急にあらたまって話し始めたんです。そして、「これは、あの、ほんの気持ちなんですけど」って袱紗(ふくさ)を差し出して。開けたら中に大量の小判が入っていたんです!もう驚きですよ。それが「小判」の最初です。

さだ だってね、箭内さんに仕事をお願いする以上、「普通」の謝礼じゃ面白くないじゃない。だから、ネットで検索して小判を買って持って行ったんです。

 僕は時代劇専門チャンネルが好きで「仕掛人・藤枝梅安」をよく見ているんですけれど、梅安は仕事の依頼を受ける時に、依頼金の半額の150両を前払いでもらうんですよ。それを見て、「これだ!」とひらめき、藤枝梅安レベルの報酬・300両分の小判をネットで買って、紫の袱紗に包んで持って行きました。

箭内 その小判はしばらく僕の手元にあったのですが、2017年に「風とロック芋煮会」のゲストとして、さださんに来ていただくために、今度は僕が小判を持って行きました。その時は200両足して500両にして、「お納めください」ってお願いしたんです(笑)。