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「美人はモテるけど成婚に至らない」婚活市場で“結婚できない美女”が増える3つの理由

『パラサイト難婚社会』より #2

2024/03/07

genre : ライフ, 社会

note

「子どものため」という理由に関しては、「身長」も無視できません。女性の場合、「身長」は成婚率と因果関係が確認できませんでしたが、男性の場合は少なくとも結婚相談サービスでは、「身長が低いと成婚率が落ちる」現実があることは、心苦しいながら追記しておきましょう。

子どもへの遺伝問題がネックに

「女性の高身長」の場合は、先ほどの「容姿」と同じく、「早めに手を打つ」そうなのです。例えば身長が170センチ以上の女性は、自分以上の身長の男性は限られてきますから、早めの段階で「この人あたりならいいだろう」と感じた時点で結婚する人も多いです。

 ところが、「男性の低身長」の場合は、当の女性の好みもあるでしょうが、それ以上に、「将来生まれてくる(かもしれない)子ども」への遺伝問題がネックになるようです。将来の自分の子どもが男の子の時、低身長では可哀想という憂慮が、背の低い男性を選ぶことを躊躇させるそうなのです。これも、差別が差別を再生産する1つの例です。

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結婚に関する要望・選択肢は多様化

 これは余談ですが、「本当の身長をサバよんで登録していた事実が判明した時」の反応が、男女で真っ2つに分かれることも興味深かったです。「女性が身長のサバをよんでいた」場合(本当は168センチなのに、162センチとサバよんでいたような場合)は、男性は一瞬驚くものの、事実は事実として受け入れる傾向が見られました。

 ところが、「男性がサバをよんでいた」場合(身長159センチなのに、165センチと偽っていた場合など)は、ほとんどの女性が怒りや失望などネガティブな感情を引き起こしていたのです。「実は低身長だった」事実に対する失望ではなく、「ウソをついていた」事実が、「男らしくない」「潔くない」「正直者ではない」という人格上の欠点として強調されてしまうからのようでした。

 ことほどさように、結婚に関する要望・選択肢は多様化しており、さらに今ご紹介したようなわずかな要素でも、男女共に大きく考え方や価値観は異なることがわかります。「未婚」者さえ多数集まれば、自然と「結婚」が成立する時代ではなくなったことが、未婚社会の難しさを表しています。

パラサイト難婚社会 (朝日新書)

パラサイト難婚社会 (朝日新書)

山田 昌弘

朝日新聞出版

2024年2月13日 発売

「美人はモテるけど成婚に至らない」婚活市場で“結婚できない美女”が増える3つの理由

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