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自分たちは“勝ち組”と思っている!? 世帯年収1400万円以上の“パワーカップル”が陥る、マンション購入の落とし穴

『なぜマンションは高騰しているのか』より#1

2024/03/25

genre : ニュース, 社会

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パワーカップルのバイイングパワー

 では、パワーカップルはどの程度の「パワー」を持っているのでしょうか。

 マンション購入を前提に、シミュレーションしてみます。マンションを購入する際、多くは住宅ローンを活用します。ここでは期間35年を想定して、世帯収入1500万円のパワーカップルがどこまでローンを借りることができるかを考えます。

 住宅ローンは長らく低金利が続いていますが、2023年10月時点で短期プライムレートに連動する変動金利は約2.5%、超長期の固定金利は2.9%程度です。仮に金利2%とし、年間のローン返済額を年収の25%と、返済適正比率(20~25%)の上限値に設定します。

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 すると、【図表1】で示すように、9433万円の借り入れが可能になります。金融機関によってはさまざまな特典への加入によって金利水準をさらに低く、0%台前半に設定しているところもありますので、借入可能額は1億2400万円程度にまで膨らみます。

【図表1】住宅ローンの借入可能額

 パワーカップルであれば、ある程度の貯蓄があるはずで、頭金として1000万~2000万円は用意することができるでしょう。また、夫婦共に上場企業勤務の場合、親たちも裕福なケースが多いと想定されますから、双方の親の援助を見込めば、億ションに十分手が届きます。世帯年収2000万円を超える場合は、頭金や親からの援助を加えることで「2億ション」をゲットできる可能性も十分にあります。

©AFLO

 昭和の時代、住宅は年収の5倍が適当、7倍が限界と言われました。それが、低金利と夫婦が共に働くことで、また給与の上昇もダブルに期待できることで、多少高額でも十分に購入を検討できる時代になったわけです。

 億ションに手が届くということは、現在の相場からも坪単価500万~600万円台の湾岸にあるタワーマンションを買うことは可能ですし、実際、そうした層が高額になったマンション販売現場に果敢に参入してきています。

 パワーカップルのバイイングパワー、恐るべし、ただし、リスクがないわけではありません。