文春オンライン

「暗殺未遂」から「20世紀最高のアルバム発表」までのボブ・マーリー…遺族ご指名の監督が再現した2年間

映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』レイナルド・マーカス・グリーン監督インタビュー

2024/05/17

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画, 音楽

note

 ボブ・マーリーが36歳の若さでこの世を去って、43年。音楽界に大きな影響を与え、今なお文化の一部として存在感をもつ伝説のミュージシャンの伝記映画が、ついに実現した。

ウィリアムズ姉妹の『ドリームプラン』の監督を指名

 現在公開中の『ボブ・マーリー:ONE LOVE』は、マーリーが大ヒットアルバム「エクソダス」を制作し、リリースした、1976年から1978年の2年間に焦点を当てるもの。主演はイギリス人俳優キングズリー・ベン=アディル。

キングズリー・ベン=アディル演じるボブ・マーリー © 2024 PARAMOUNT PICTURES

 プロデューサーを務めるマーリーの息子ジギー、娘セデラ、妻リタは、正しい人々で正しい映画を作ろうと、このプロジェクトに長い時間と多くの労力を費やしてきた。そんな彼らが「この人ならば、この映画を任せられる」と確信し、監督に指名したのが、『ドリームプラン』を手がけたレイナルド・マーカス・グリーンだ。

ADVERTISEMENT

 ヴィーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹をトップクラスのテニス選手に育て上げたリチャード・ウィリアムズを描いた『ドリームプラン』では、リチャードの娘ヴィーナス、セリーナ、イシャ・プライスがエグゼクティブ・プロデューサーとして製作に深く関わった。

「ボブは助手席に乗る」家族ならではのリアルな指摘

 当のリチャードはまるで関心を示さず、グリーンに会うこともしなかったが、そこもまた、すでに本人が死んでしまっているマーリーの映画の状況に共通する。本人を最も良く知る家族と一緒に、良いところも悪いところも含め、できるだけ忠実にその人を描いていくことを、グリーンは再び楽しんだ。

「家族とコラボレーションができるのは最高だ。一見どうでも良いようなことでもリアルに描くことに、僕はこだわるから。たとえば、部屋にいるシーンを撮影しようとしていたら、『ボブはそんなところに座ったりしない』と言われた。

茶色のキャップ姿がレイナルド・マーカス・グリーン監督 © 2024 PARAMOUNT PICTURES