『アラビアのロレンス』(62年)、『ナイルの宝石』(85年)、『シェルタリング・スカイ』(90年)、『グラディエーター』(00年)、『ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション』(15年)、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(23年)…。
数々の映画のロケ地として選ばれてきた北アフリカのモロッコ。その魅力は、サハラ砂漠などの雄大な自然だけではなく、近年は国を挙げてのサポートにもあるようだ。モロッコにおいて映画産業はどんな存在なのか? 駐日モロッコ王国特命全権大使、ラシャッド・ブフラルさんに伺った。
はじまりは『アラビアのロレンス』、佐藤健主演作も撮影
──モロッコといえば、真っ先に映画『アラビアのロレンス』を思い浮かべます。映画のロケ地として注目されるようになったのは、やはりこの作品がきっかけなのでしょうか。
ブフラル大使 『アラビアのロレンス』は、モロッコが初めてロケ地として登場した映画です。アトラス山脈の南側に位置する砂漠の入り口の街、ワルザザートでロケが行われました。モロッコが映画のロケ地として知られるようになった点で、この映画の存在は大きいでしょうね。
現在、ワルザザートは「ワルザウッド」の愛称でも親しまれ、モロッコの映画産業にとって極めて重要な拠点となっています。
ただ、モロッコが本格的に撮影地として脚光を浴びるようになったのは、『グラディエーター』以降だと思います。
その後、『バベル』(06年)、『インセプション』(10年)、『ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション』、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』など、世界的なヒット作が、次々とモロッコで撮影されました。日本の映画『億男』(18年)も、一部モロッコで撮影されていましたね。
──そうですね。映画の後半で、九十九(高橋一生)と一男(佐藤健)が砂漠の砂の上で夕陽を眺めるシーンは、とても印象的でした。ワルザザートには大きなスタジオがあるそうですが。
ブフラル大使 アトラス・フィルム・スタジオですね。1983年に設立されたアフリカ最大の映画スタジオで、見学も可能ですよ。実際に使用されたセットや撮影風景などが展示されているので、映画の世界にたっぷり浸ることができると思います。