ロバとの旅をTwitterで発信し注目されている人がいる。
「太郎丸さん」こと高田晃太郎さん(33)は、1989年京都府亀岡市生まれ。北海道大学を経て、北海道新聞社に入社後2年で退社すると、南米やヨーロッパ、モロッコなどを2年半放浪。帰国後、2019年に十勝毎日新聞社で2年半勤務した後、2022年2月からイラン、トルコ、モロッコの3カ国をロバと旅をし、2023年の1月に帰国している。ロバと歩いた距離は実に合計5000km。
本稿は、帰国した太郎丸さんにロバとの旅についてインタビューしたものだが、本題に入る前に、そのTwitterで人気だったロバのツイートを見てみよう。
こちらは、トルコをともに旅したロバの「ソロツベ」が雌ロバに会ったけど振られてしまい、鳴き叫ぶ動画。
↑の動画をロバの前で再生するたびに、トラウマを思い出したかのように、絶叫し始める pic.twitter.com/BNG10jeHkw
— 太郎丸 (@taromar_u) May 22, 2022
人間のように絶望しているように見え、ロバってこんなに感情豊かなのかと驚かされる。
こんな愛らしくも、日本人にとってはあまり馴染みのないロバとの旅とは、どのようなものなのだろうか。まずは、その旅がどのようにして始まったのかを聞いてみよう。
遊牧民と暮らしてロバの扱いを学ぶ
――ロバと歩いて旅をしてみようと思ったきっかけから教えてください。
太郎丸 最初に徒歩旅行に惹かれたのは、スペインのカミーノ・デ・サンティアゴという世界遺産に登録されている巡礼路を歩いたときでした。全長800kmを1日に20km、30kmと歩くことで踏破しました。
そのときは、そのままリスボンまで歩いて、そこで自転車を買ってモロッコまで行きました。そのモロッコで初めて遊牧民の人たちがロバを使っているのを見ました。重い荷物を背負って歩くロバの健気さに胸を打たれると同時に、ロバに荷物を乗せたら、どこまでも行けるんじゃないかなって思ったんですよ。
――それがいつのことですか?
太郎丸 2016年の10月ですね。その直前に南米をバスで旅していました。バスは快適ですが、その移動の間の記憶が少なく、物足りない気がしていました。それで歩いてみたいと考えたんだと思います。
――ロバのことはどうやって学んだのでしょうか。
太郎丸 モロッコで遊牧民と会ったとき、その暮らしに関心があって1カ月ほど一緒に暮らしました。いわゆるノマドですね。彼らはロバを4頭持っていたので、そこで一緒に暮らすなかで、ロバの扱いを学んでいきました。
――ロバの扱いには、どういうものがあるんですか?
太郎丸 ロバに麦を与えるときは、紐のついた布の袋に入れて、それを口に被せるようにして与えるんです。そうするとこぼれません。あとロバをつなぐときは、釘を地面に打ち付けてロープをつけ、その反対のロープをロバの足にくくりつけるとか。そういう基本的なことですね。ただロバは基本的におとなしいので、馬などと比べて扱いやすいです。