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神戸で見つけた“小さな中華料理屋” 70歳店主がつくる「480円のラーメン」は絶品だった!

B中華を探す旅――神戸「宝美園」

2022/08/08
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 阪神電車の「高速神戸」といえば、「楠公(なんこう)さん」と親しまれる湊川神社の最寄駅として有名だ。などと知ったようなことを書いてはいるけれども、じつは神戸にさほど詳しいわけではない。

 それどころか絶望的な方向音痴なので、どこになにがあるのかさっぱりわからないという始末。そこで、恥ずかしながら現地の友人に力を貸してもらうことにしたのだった。「B中華を探す旅」、神戸編である。

小さなB中華を発見

 なお、その友人によればこの近隣は風俗街らしく、たしかに大通り(国道428号線)の裏手に入ってみると、過度に装飾された多くの建物が現れる。13時を過ぎたあたりだったため店は閉まっており人影もなかったが、夜になればまた別の表情を見せるのかもしれない。

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 大通りに戻ると、小さな町工場の隣に、これまた小さなB中華が建っている。金色の大きな双喜紋(「喜」を横にふたつ並べた、中華料理店でよく見るデザイン)が目につくが間口は狭く、店名が白く抜かれた赤い日除けも端のほうが破れている。

 

 華やかさはないのだが、そこがいい。神戸の三宮や元町あたりは中華街もあり、華僑経営の店が多いことで知られるが、求めていたのはむしろこういうタイプだ。ともあれ、「宝美園」という名のその店に入ってみることにしよう。

 茶色い木枠で囲まれたガラス扉を開けると、期待通りの光景が飛び込んでくる。真正面の上方には「献立表」と書かれた黄色い地の大きなメニューが掲げられており、その下が厨房。その手前の右側に3卓、左側に1卓、4人がけのテーブルが並ぶ。カウンター席も見当たらないから、全席が埋まれば16人でいっぱいになってしまうだろう。なお、お邪魔したときにお客さんは奥の席に男性2人だけ。時間をずらして正解だった。

 
 

まずはビールと餃子を注文!

 道路側、いちばん手前の席に落ち着き、まずはビールと2人前の餃子を頼む。