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2018/12/13

日本語版ウィキペディアで鉄道記事が増えやすい理由

 しかし、こんなにもやっとした名前で記事を作っていいものか……と思う方もいるかもしれない。ウィキペディアには「記事名の付け方」という決まりがあり、日本語の正式名称で記事を立てなければならない。しかしながら名称が未決定のものなどについては暫定的な記事名で立項できることになっている。メディアでは広く「品川新駅」という仮称で報道されていたので、この名前が仮とはいえ正式名称になり、これで立項してもかまわない。

 鉄道記事については、日本語版ウィキペディアでは活動的なユーザが多い。これは荒らしにすぐ対処できるとか、記事が増えやすいという利点がある一方で、あまり出典がない貧弱な記事が量産されたり、鉄道好きの視点に寄りすぎており、一般読者からするとわかりづらい記事ができたりするという難点もある。「品川新駅」のような記事が早くから立項されたのは、鉄道に関心があるウィキペディアンが多いからだろう。 

「高輪ゲートウェイ駅」へ 異例の改名手続きと、怒涛の“荒らし”

 「品川新駅」の記事は、新駅名が決定した瞬間に改名された。実はこれは特殊な手続きで、本来、記事を改名する場合には改名提案というものを提出して意見を募り、合意に応じて記事をまるごと移動する必要がある。ただし、記事名に誤字があったり、表記規則に反していたりする場合は提案無しでもかまわない。おそらく「高輪ゲートウェイ駅」が正式名称となるのは明らかだという理由で、このルールに沿って即時改名されたものと思われる。

 その後のこの記事の荒らされっぷりはひどいものだった。まず、それまではほとんど参照されていなかった記事のページュビューが1日で10万回近くにはねあがった。

ウィキペディア」より

 それだけならよいが、冒頭でも言及したとおり、記事中で駅名などがめちゃくちゃにされた他、要約欄という記事中には現れないが編集履歴には現れる記録スペースで「ウェーイwww」などの無関係な書き込みや、暴言を吐くユーザも現れた。このため、コミュニティによって選出された、通常の利用者には制限された一部の操作を行う権限を持った利用者グループである「管理者」により記事は「半保護」となったわけだが、これは自動承認された利用者でないと編集ができないというモードだ。

ウィキペディア「半保護」モードの意味

 ウィキペディアはアカウント登録をしていなくても編集できるが、自動承認された利用者というのは、アカウント登録をしたユーザとして初ログインしてから4日以上が経っていて、編集も10回以上している利用者を指す。ウィキペディアでは、ユーザ名を登録して、編集している人の同一性が周りからわかるような形で活動することが重視されている。

 つまり、半保護というのは、ユーザ登録をしていないか、あるいは捨てアカウントを作って短期間に荒らしをしようとするようなユーザから記事を守る方法だ。これで、興味本位でイタズラをするような編集はある程度防げる。また、荒らしを行った中にはブロックされて一切、編集ができなくなったユーザもいる。ウィキペディアには、このように記事を荒らしから守る措置がいくつかある。

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