文春オンライン

「青山のブランド」を謳う南青山マンションポエムに足りない“2文字”

2018/12/28
note

「六本木を愛する方のための、誇り高き価値の創造」

 たとえば同じ港区である六本木のタワーマンションを見てみると、この青山ポエムの特殊性がわかる。

東急不動産「マジェスタワー六本木」ウェブサイトより
東急不動産「マジェスタワー六本木」ウェブサイトより
東急不動産「マジェスタワー六本木」ウェブサイトより

 ご覧のように「六本木」を前面に押し出している。それにしても「識る」「棲む」といった画数の多い漢字を選ぶあたり、マンションポエムのお手本のようだ。あと「東京を手中にする」という表現はマンションポエムで多用されるもので、これをぼくは「世界征服系ポエム」と呼んでいる。これについてはいずれ別の機会に紹介したい。

「白金」ですら地名を多用している

 さらに同じ港区は白金のポエムも見てみよう。

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三菱地所レジデンス・野村不動産「ザ・パークハウス白金二丁目タワー」ウェブサイトより
三菱地所レジデンス・野村不動産「ザ・パークハウス白金二丁目タワー」ウェブサイトより
三菱地所レジデンス・野村不動産「ザ・パークハウス白金二丁目タワー」ウェブサイトより
三菱地所レジデンス・野村不動産「ザ・パークハウス白金二丁目タワー」ウェブサイトより

 かつてそこに住むマダムが「シロガネーゼ」と呼ばれた地、白金。さすがのハイテンションポエムである。そしてご覧のように当然のことながら「白金」の地名がばんばん出てくる。これらと比べると、先の青山のポエムの特殊性がよくわかるだろう。なんせ「最もヒトの身体に近いところで寄り添うもの。それは布」である。ユザワヤの広告か。もはや青山という街がいかに格調高いかを、ことさら謳う必要もない、ということなのだろう。王者の風格である。