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2019/01/22

プロ野球生活で一番印象に残っている試合

 そんな攝津さんだから、あの時のあの涙に私たちも心から心を動かされたのでしょう。

「去年の初勝利は一番いろんな感情があって印象的でした」

「今まで味わったことのないような声援を送って頂いた」

 そう振り返るのは、去年の5月22日の西武戦。618日ぶりの1軍白星を挙げ、お立ち台で涙を見せたあの試合です。

 数ある輝かしい勝ち星や成績を抑えて、プロ野球生活で一番印象に残っていると話したのは「1つ勝つのがこんなに大変なことだと改めて知った」この勝利でした。

 試合後のお立ち台で「筑後で『頑張れ』と。『1軍で待ってます』と。その声が原動力になりました。本当にありがとうございます」とファームで声援を送り続けてくれたファンへの感謝の想いを口にし、涙を見せました。

 この登板後、登録を抹消されてファームに降格すると再び筑後のファン達からたくさんの声を掛けられていました。

「おめでとう」「感動をありがとう」

 ファームで声援を送り続けたファンみんなの願いでもありました。若鷹ファンの方達も、実績あるベテランが2軍で黙々と練習する姿に心を動かされてきました。攝津さんに握手を求めて涙するファンもいました。その時の光景が忘れられません。

 結果的にプロ最終年となった昨季も1軍で2勝に終わりました。それでも、苦しんだはずの日々を「意味のある3年間」と攝津さんは前向きに捉えていました。ダメになった時、いろんな人と話すことで様々な理論が聞けたり、若手とも会話する中で伸び悩んでいる彼らが何を考えているのか知ることが出来たり。入団当初から順調に行き過ぎた分、この3年間で得た時間は今後野球に携わる上で役に立つと感じていました。

「またホークスに戻ってきてください」と書かれた和田毅投手からのお花 ©上杉あずさ

ファームでのちょっとした変化

 背中で魅せるタイプの方でしたが、ファームにいる時間が長くなったこともあってか、ちょっとした変化もあったと鳥井田コンディショニング担当が以前話してくれました。

「自分の家に森や加治屋を呼んで食事をしたりしてるみたいですよ。ここ2年くらい、後輩の面倒見がよくなったかな」

 チームの第一線で頑張る後輩たちを気遣ったり、ファームでもがく後輩たちへ声を掛けたりすることが増えていたそうです。今オフの森投手の自主トレのサポートにも訪れたようです。攝津さんは引退会見の最後に「周りのことは気にしないで自分の思ってることを突き進めるべきだと思う。信念を持ってやって欲しい」と若手へのメッセージを残しました。先輩の和田毅投手がお花に託した「またホークスに戻ってきてください」という想いが、いつか再びホークスのユニフォームを着て、指導者として戻ってくることによって結実して欲しいと強く想いました。

 後輩選手たちのみならず、私もホークスを取材する中で、攝津さんからたくさんのことを学ばせて頂きました。プロとして生き抜いた攝津投手に改めてお疲れ様でした。そしてありがとうございました。

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