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さよなら、夕張線 「赤字を出し続けた」ローカル線、最後の旅へ

120年以上の歴史に幕

2019/02/04

genre : ニュース, , 社会

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「観光開発の失敗」を見続けたローカル線

 夕張市の財政破綻の引き金になったのは大赤字第三セクターによる観光開発だったが、とにかく炭鉱閉山後の夕張は“観光優先”だったのだろう。それも思うようにいかずに赤字を垂れ流し続けた。その結果、市の財政は逼迫して産業も衰退。炭鉱最盛期には12万人近かった人口も今では8000人台にまで激減してしまったのである。清水沢駅などとは違って炭鉱路線の面影を捨てた終点・夕張駅にはそんな夕張市の苦悩の歴史もまた、刻まれているのだ。

 こうして20分少々の夕張線の旅はあっというまに終わってしまう。1890年代から炭鉱路線として開業して栄華を誇り、日本の近代化に大きく貢献した夕張線。けれど、石炭の時代が終わると夕張線はしがないローカル線になってしまった。それからも夕張市の観光開発とその失敗という歩みも見つめ続け、翻弄されてきた。廃止をあと2カ月後に控えた今の夕張線は、鉄道ファンたちで賑わっている。反面、地元の人はもうほとんど乗っていないという。町の人は言う。

「今はたくさんの人が来てくれるけどね。廃線後もどれだけの人が来てくれるかが課題でしょうね」

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 炭鉱路線としての役割をとうの昔に終えた夕張線は、間もなく120年以上に及ぶ長い歴史に幕を閉じる。雪に埋もれる山間を鉄道ファンを満載にして走る気動車は、一体何を思うのか。いずれにしても夕張への山間をゆく列車に乗れるのは、あとわずかである。

さよなら、夕張線
夕張線の路線図、新夕張~夕張間は16.1km

写真=鼠入昌史

さよなら、夕張線 「赤字を出し続けた」ローカル線、最後の旅へ

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