インスタでロシアの人に大ウケ
―― 今はSNSに力を入れているそうですね。
倉本 SNSを使って展開したりとか、或布がやっているVチューバーだとか、今はエンタメに絡められるものが無限にあるおもしろさがあって。
昔は社会貢献したいのと、ちょっと売名したいという下心もあってみんなでトイレ掃除とかしてたけど、今は一人一人が自立して生きていれば社会に貢献できているだろうと。だから、エンタメをまずはがんばろうと。
―― 「待て待て、エンタメの間口はいろいろあるじゃないか」と気づいて。
倉本 そうですね。たとえば俺、インスタをやってるんですけど、ロシアの人たちがジャパニーズマフィアに興味を持ってファンになってくれたりとか、思わぬところでニーズがある。やくざをいいふうに思っていない俺もいますけど、文化としては魅力的だから広めよう、と考えることもできますよね。たとえば和彫りも、日本の文化ですし。
―― 今までやくざと彫り物ってある意味背中合わせだったと思うんですが、そこをビジュアルとして切り離していくということもアリ、ということでしょうか。
倉本 そのとおりだし、いいんじゃないですか? 今となっては、やくざは関係ない世界だし、まったくよく思ってない。でも、やくざ役のコスプレ集団として楽しく芸能界で暴れられれば。
一番気にしているのは、他人に迷惑をかけること
―― 元いた世界ではなく、堅気の世界で暴れる……気を遣うことはありませんか。
倉本 普段、撮影前に高倉組時間の集合時間っていうのを必ず設けてあるんだけれども、俺が一番気にしているのは、他の人に迷惑をかけることなんです。存在自体が派手なものですから。
だから、たとえば打ち上げだったら、必ず店長のところに名刺を持って行かせて、「こういう不良な感じだけど、今日は1時間だけお世話になります」とあいさつするように必ず心がけています。現場も、ファミレスも、喫茶店でも。まあ、これも、「高倉組」の売名がしたいという下心もあるんですけどね。
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いま暴力団組員は代紋のバッジをつけただけで罰せられるが、高倉組は堂々とそれを身につける。なにしろ警察に照会をして「登録」がないことが確認されないと組員にはなれないのだから、いわばカタギの証明書である。
おまけに代紋はハートをモチーフにしている。見た目が怖いだけでなく「守れる人がいること」が採用の条件という高倉組らしいデザインだ。LOVE IS POWERである。そしてアウトローに戻らないためにアウトローを演じる。エンタメのチカラとその広がりを信じる倉本組長でもあった。
写真=石川啓次/文藝春秋
※一部不適切な表現があり、読者からの指摘で修正いたしました。2/11. 22:52