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2019/04/01

■昭和駅(神奈川県/JR鶴見線)

「平成」に行ったなら、時代をさかのぼる旅を少しだけ続けてみたい。次は「昭和」である。その駅があるのは、一気に関東へ行って神奈川県。川崎の臨港部を走るJR鶴見線の駅のひとつが「昭和駅」だ。

 昭和駅にたどり着くまでに、鶴見駅から鶴見線に乗り込んで車窓を眺めてみる。すると、この鶴見線がいかにも“昭和”な路線なのである。途中の国道駅は太平洋戦争で機銃掃射された跡が残っているというほどのレトロな駅だし、沿線に広がる工場群はまさしく昭和の工業地帯そのもの。その中を、少し古めの昭和末から平成初期にかけて作られた205系電車が走ってゆく。

川崎市にあるJR鶴見線の昭和駅
ちょっと昭和を感じさせる(?)佇まい

駅を出てすぐ分かった駅名の由来

 そして昭和駅。こちらも改札口を出てすぐに大きな工場があったり、いかにも昭和の名残をとどめた雰囲気の小さな工場があったりと、やっぱり昭和なのである。だから「昭和駅」というのかなあ……などと思っていると、よくよく見たら駅前の大きな工場は昭和電工さん。どうやら、この昭和駅の駅名の由来は昭和電工から来ているらしい。開業したのは1931年(昭和6年)で、当時はまだ昭和電工ではなく昭和肥料だったようだが、そこへのアクセスや貨物輸送を担う駅ということで名付けられたのだ。

 実は、鶴見線の駅名は沿線の工場や土地の所有者から頂いたものが多い。浅野・安善・大川はそれぞれ大実業家の名を取ったものだし、海芝浦・新芝浦は東芝の前身である芝浦製作所から。昭和駅の名もそのひとつなのであった(もちろん昭和肥料の社名が昭和という元号から名付けられたわけで、元号と無関係ということではないのだけれど)。

 とはいえ、いかにも昭和らしい工業地帯の中の駅。時代を感じることは充分にできるので、“元号駅タイムスリップの旅”にはピッタリである。

駅前にある「昭和電工」川崎事業所
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