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相手を撮り続け16年目の作品 喜多村みか・渡邊有紀のポートレート
倉谷と山崎には、「共作の先輩」として憧れる存在がいた。ともに写真家として活動する喜多村みかと渡邊有紀だ。
同じ大学で写真を学んでいた喜多村と渡邊は、ふたりの距離を縮めようとして、お互いを被写体にしてポートレートを撮るようになった。その後も不定期に撮影は繰り返され、現在までおよそ16年間も続いている。
それらの写真は折に触れて「TWO SIGHTS PAST」との名で発表され、シリーズはいまなお継続中だ。
頻度や撮影方法などをあまり厳格に定めず、あせらずさりげなく、心のままに撮りためてきた作品だからだろうか、観る側もふたりのたたずまい、表情、関係性のゆるやかな変化をこまやかに見守り追いかけたくなる。そうして自分自身の16年間のことも、振り返らずにはいられなくなる。
今展は倉谷と山崎が喜多村・渡邊に声をかけるかたちで、ふたつの共作が同じ会場で展示されることとなった。通覧すれば写真とは、単に外界を写すものというより、自分の自己顕示欲の強さを推し量ったり、だれかとの関係の濃淡や距離感を可視化したりできる魅力的なツールだと気づく。だれもが日々撮ったり観たりしている写真との付き合い方を、いまいちどゆっくり考えてみたくなる。