さんざんこのコラムでも話題にしてきたが、こんな順位でも今年のバファローズは面白い。もちろん、まだまだCS圏内に踏みとどまっているってのもあるが、それ以上にフレッシュなメンツで戦う今年のバファローズ野球が面白いのだ。それほど今年のバファローズは昨年までのそれとは大きく違った海原へと舵を切った。スタメンオーダーの一新がその象徴とも言えるだろう。

 ただ、毎日毎日中川圭太や山本由伸、榊原翼に佐野皓大のようなフレッシュな選手たちを見ているとふと思う事がある。「全員背番号デカ過ぎるんちゃう?」。そう、ありがたい事に現在のオリックス・バファローズ。育成の成功を物語る「背番号デカ過ぎ問題」に直面しているのではないのだろうか。いや、好きな番号を背負って戦ってくれたらそれで良いのだけれど。

 もともとオリックスという球団は背番号に対する思い入れが特に薄い球団のように感じる。先日、中日から移籍してきたモヤにあっさり「1」を渡してしまうあたりがそれを物語っているだろう。イチロー氏の「51」にしたって球団の見解では「準永久欠番」だとか。「準」の文字と「永」の文字が混在するカオスなワードセンス。「バファローズ」を名乗るが鈴木啓示氏に返上された永久欠番「1」を後藤光尊氏から再度回収しテリー・コリンズ監督に提供するなど、本当に背番号を識別コードか何かと思っているのでは無いかと疑ってしまう。あぁ、未来の黄金時代を築く若きバファローズ戦士たちよ。どうか子供やライトユーザーが覚えやすい番号を背負って戦ってはくれまいか。

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背番号の系譜に見る右腕にはありがたい背番号「11」

 プロ野球の背番号の系譜を見ているとやはり背番号は数字では無く個性、いやプレースタイルの象徴のように感じる事がある。もちろん「たかが背中の番号に強い拘りは無いよ」という選手の事を否定する気は無いし、それはそれでその数字の価値を高めてくれたら良いと思う。先述した「51」や、今や先発左腕の象徴「47」が良い例ではないだろうか。しかし「この数字はこんな選手に背負って欲しい」と言う、言わばただの数字を超えた背番号の持つアイデンティ、と言うか、強いイメージが存在するのもまた事実。恐らく山田哲人選手が仮に在籍していない状況だったとしても、ヤクルト球団ならば移籍したての外国人選手に「1」を渡す事はあり得ない事だろう。多くのチームで使われるエースナンバー「18」がその最たる例ではないだろうか。

 では、現在オリックス球団で空き番号になっている背番号で良い印象の番号を考えてみよう。まずは金子千尋(金子弐大・日本ハムファイターズ)が長く背負っていた為、オリックス球団ではもう一つのエースナンバーとも言える「19」が空いている。来年山本に、いや、山岡泰輔の「13」→「19」への移行も良いかもしれない。先発投手陣の刷新に成功した今だからこそ、まずは真っ先にこの「19」を埋めて欲しいものだ。

「13」を背負う山岡泰輔

 それに近年では右の本格派先発投手が背負っているイメージの強い「11」も松葉貴大(中日ドラゴンズ)の移籍によって空き番号となった。「バファローズ」にとってはどちらかといえば「19」よりこの「11」の方がやや印象の強い番号なのかもしれない。吉井理人→野茂英雄に受け継がれた、右腕にはあまりにご利益がありそうなこの番号は、是非とも榊原あたりに背負って欲しいなと一人想像している。いや、松葉もよく似合ってはいたが「11」は違うだろうというのはここでは触れない事とする。