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まるで“純正律”。6位のまま突き進むバファローズ、後半戦をどう楽しむべきか

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/08/03

ニュースがない! 純正律さながらの一直線オリックス・バファローズ

 ニュースがない。いや、驚くほどにニュースがないのだ。

 日本は韓国を貿易ホワイト国から除外する閣議決定をしたし、未だ大阪の雄・吉本興業は日々ワイドショーを騒がせ続けている。ジャニーズ事務所が公正取引委員会から注意を受ければ、れいわ新選組の新人議員の初登院で日本中がワチャワチャと議論をくり広げている。こんなにも世の中が慌ただしい2019年8月。あぁ、世の中はこんなに週刊文春が好みそうなニュースで溢れているのに、それでも驚くほどにニュースがないのだ。だから何のニュースかって?

 よくぞ聞いてくれました。それはこの文春野球コラムでの自分の役回り、そうオリックス・バファローズ関連のニュース。その話題の無さ、いや淀みの無さはまさに純正律。宇宙のハーモニーかと思うほど揺れず濁らず、見事に何者とも共鳴する事なくペナントレースに響き渡る。一応4月の後半までは4位~6位の幅を揺らいでいた平均律・オリックス・バファローズという周波数も、5月に入ってからはまさに純正律さながらの一直線。まるで山本由伸のストレート、いや、神が作り出したシンフォニーを奏でているかのようだ。うむ、もどかしいぞオリックス・バファローズ。

8月2日現在、防御率1.89の山本由伸 ©時事通信社

防御率と最多勝はまだまだ狙えるBs投手陣

 まぁそれでも、人間が演奏をする以上完璧な純正律など存在しない。世の中の音楽という音楽は全て平均律で奏でられていると言ってしまっても過言では無いだろう。それに完璧な純正律のハーモニーが仮に存在したとしても、それが演奏表現の優劣とは因果がないのもまた事実。ならばこの純正律、いやもう面倒臭いので「6位固定の状況」とでも呼ぼうか、この「6位固定の状況」が続いたとしても9月まで野球を楽しめる「心の揺らぎ」がどこかに隠れているはずだ。きっと美空ひばりの歌声を彷彿とさせる「揺らぎ」、我々オリックス・バファローズファンの心に響く「癒しの揺らぎ」、いわゆる「f分の1揺らぎ」が存在するはずなのだから。

 そうなるとまずはお決まり、何と言っても個人タイトルの動向だろう。現在狙える個人タイトルで最も有力なもの、それは山本由伸の防御率タイトルではないだろうか。両リーグ唯一の先発投手の防御率1点代は完璧な数字である。言ってしまえば山本は2失点しない投手なのである。ここまで15試合に先発しているので本来ならば10勝近く挙げていてもなんら不思議ではない。あれ? え? 5勝? 防御率2位の日ハム・有原航平が防御率2.29で11勝なのに?

 仕方ない、有原は17試合に登板、山本は15試合だからそこは勝ち星に幾ばくかの差が付いていても不思議ではない事としよう……。まぁまだ若き先発右腕である。最多勝は他者に譲ったとしても防御率タイトルは是非山本がその手に掴んでくれると期待して観戦する事にする。

 そしてそのライバル、有原の11勝が現在パリーグの最多勝であるが、オリックスのエース山岡泰輔も8勝とじゅうぶんに最多勝を狙える位置につけていると言えるだろう。防御率もここまで3.34と、山岡にしては少し物足りないが、決してそう悪い数字ではない。何より有原がすでに5敗目を喫しているのに対し山岡は未だ3敗、そう山岡の最大の魅力は「負けない」ところにあるように思う。エースの資質じゅうぶんである。そして打の方も吉田正尚に大きな期待がかかる。さすがに本塁打タイトルは西武・山川穂高、それにロッテ・レアードにやや水を空けれれた感は否めないが、それでも打率.306、打点60はまだまだタイトル争いから降りる必要は全くないと言える数字だろう。