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夏に読みたい「怖い話」

2019/08/10

大家を殺した犯人はまさかの……

 では、一体誰が大家のおばあさんを殺したのか。すでに察しのついている方もいらっしゃるかもしれません。……犯人は、このアパートの2階の住人だったのです。

 警察がどの段階から、その人物が犯人だと目星をつけていたのかはわかりません。ただ、地元の住人からすれば、なかなか犯人が捕まらず、もしかするとこのまま迷宮入りしてしまうのではないか、という空気が流れ始めた頃、埼玉の山奥でようやく犯人が見つかったのです。しかし、そのときには2階の住人は既に自殺し、変わり果てた姿になっていました。

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 1階から屋上まで、すべての事件が起きるまでにかかった時間は約4年。それぞれ、まったく関連性のない「死」が、1つの小さな建物の中で相次ぎました。事故物件が非常に少ない地域にあるにもかかわらず、なぜかこのアパートでは、すべての住民が招かれるように「死」へと吸い込まれていった。これこそが、私がここを「事故物件の聖地」と呼ぶ所以です。

事故物件の意外な“活用法”

 実は、この物件は今でも当時の姿のまま残っています。最近の情報では、1階部分はようやく借り手が見つかったようで、ある業者の資材置き場として使われているそうです。

 これは事故物件の“活用法”としては非常に良い形です。人が住むのではなく、物を置く場所として利用する。特に自殺や殺人が続いた物件は、そうした方法以外では、もう使うことができないのではないかと思います。

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 新たに人が住むとなれば、不動産の持ち主には「告知義務」が発生し、家賃も低く設定する必要が出てくるでしょう。しかし、それを避ける方法はいくつかあります。その1つが資材置き場やレンタルルームなどの「物の置き場」として利用すること。または貸会議室やライブハウスなど、人が住まない空間として使う手もあります。他にも、建物を壊してコインパーキングとしてしまうのも、事故物件を“再生”させるためにはよく用いられる方法です。