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しかし、今回ご紹介したアパートのように、すべてのフロアの住人が短期間のうちに、それぞれ全く異なる形で命を落とすという例は、他では聞いたことがありません。果たしてこれを、「偶然」という言葉で片付けることはできるのでしょうか……。
「死」のアパートから唯一抜け出した男の末路
ところで、この「事故物件の聖地」に住んでいた住民の中で、もしかすると今もまだ生きているかもしれない人間が1人だけいることにお気付きでしょうか。かつて3階で、同居人をビール瓶で殴り殺した男性――。事件の後、すぐに刑務所に入った彼だけは、命を落とす前にこのアパートを抜け出すことができました。
しかし、ここからは私の憶測ですが、事件当時の年齢を考えると、彼はすでに刑務所の中で生涯を終えている可能性が高いのではないかと思います。皮肉にも人を殺すことによって唯一“助かった”命も、結局は他の住人たちの後を追うように、続けてこの世から去っていった……。私には、そう思えてならないのです。
あるいは、彼だけは今も生き延びているのでしょうか。そうだとすると、もう刑期を終えて外に出てきている頃だと思います。では、「死」に満ちたアパートの、ただ1人の生き残りが次に選んだ物件……それは、一体どこなのでしょうか。