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夏に読みたい「怖い話」

心霊現象よりも怖い「闇金」取り立て現場のリアル

優しい口調から一転、突然態度を豹変させる瞬間とは――

2019/08/11

 もう退職して3年近くになりますが、とある司法書士事務所で働いていた頃は耳に入ってくる「怖い話」があとを絶たず、「やっぱり一番怖いのは人間だな」と、戦々恐々とした毎日を送っていたものです。

誰にでも起こりうる借金問題の「怖い話」

 私が勤務していた事務所はほとんど「借金問題」を専門にしており、依頼者の返済にかかる負担を軽減したり、相談しながら債務を完済するまでの収支計画を立て、代理人として債権者と和解交渉を行うのが主な業務内容でした。消費者金融や信販会社などの債権者とモメにモメて電話越しの大ゲンカに発展することも多くありましたが、それを差し引いても、依頼者の方が負債を一掃し、新たな一歩を踏み出す手助けができるのは非常にやりがいを感じられるものです。

 依頼者はほとんどが多重債務を抱えていて、毎月の返済額が家計を大きく圧迫、場合によっては利息分だけでも10万円近くになるなど、なかなか過酷な状況に置かれていました。彼らが借金をする理由は、例えば突然失職してしまったためにやむなく生活費を借り入れるケースから、妻に隠れて愛人にブランドバッグをプレゼントするためにローンを組んだり、投資やギャンブルに大金をつぎ込んで溶かしてしまった末の借金など、様々です。

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 しかし、過去に何があろうと依頼者はいずれも「人生をなんとかやり直したい」という切実な気持ちで相談をしてくれますし、私たちとしても全力でサポートをさせてもらいます。ほとんどの方が借金を完済して、最終的に「お世話になりました、もう借金はしません」と言いながら旅立っていく姿を見送るのは嬉しい体験でした。

 一方で、多重債務者の中には借金でてんてこまいになりながらも、生活費や返済をさらなる借金で補填しようとする人たちも少なからずいます。通常、多重債務の状態、または債務整理をしている場合は審査が下りづらく、新たな借り入れをすることは難しいのですが、あえてそんな状況にある人たちをターゲットにした、いわゆる「闇金」業者も存在するのです。