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夏に読みたい「怖い話」

心霊現象よりも怖い「闇金」取り立て現場のリアル

優しい口調から一転、突然態度を豹変させる瞬間とは――

2019/08/11

近年の「闇金」業者の実情

 闇金とは、貸金業の登録をせずに高金利で貸付を行う違法業者のことを指します。世間一般に、闇金という言葉自体を耳にすることはあっても、実際にどういうものなのかはあまり知られていないように思います。私自身、この仕事を経験するまでは闇金とは無縁の生活をしていましたし、とにかく「絶対関わってはいけない」ことだけは分かっていたので、そもそも実情を知る由もなかったわけです。

 当時、事務所では闇金トラブルの対応もしており、「闇金からお金を借りてしまった、どうすればいいか」という相談に乗ったり、代理人として闇金業者と連絡を取ることもありました。近年では、おそらく闇金と呼ばれる業者のほとんどは実際に客と会うことはなく、電話やメールのやりとりのみで済ませる形式が主流であるように思います。理由としては、違法な貸し借りのために店舗を持ったり客と会ったりすることは、闇金業者にとっても身バレや警察による捜査につながる可能性があり、非常にリスクが大きいことが考えられます。

 しかし、稀に「実際に業者に会って貸付を受けた」という人もいます。こうした場合は暴力団関係者による貸付である可能性が高く、司法書士では対応ができないばかりか、介入することでかえって本人の身に危険が及ぶこともあり、とくに慎重に対応する必要があります。

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優しい言葉に惑わされ……悪質な手口

 相談者に闇金から借金をした経緯を聞くと、多くの人が「向こうから突然電話(もしくはDM)が来た」と答えますが、これは個人情報が何らかの形で闇金業者の手に渡ってしまっているためです。破産をすると、国が発行している「官報」に氏名・住所が記載され、闇金業者はそういった情報を悪用して「破産者リスト」を作成したり、売買したりするのです。これまでに破産した人の情報を収集、個人を簡単に特定できる状態でネットに公開し、物議を醸した「破産者マップ」もまた、官報を利用して作られたものです(現在サイトは閉鎖)。

 一般的な感覚で言えば、知らない人から「融資しますよ」と連絡があっても明らかに怪しいと分かりますし、真面目に話を聞こうともせず、すぐに電話を切るでしょう。しかし、他ではお金を借りることができない、さらに生活に困窮している人たちは周りから敬遠されたり孤立したりしがちで、助けてくれる人がいないこともざらにあります。

 そのため、たとえ突然かかってきた電話だとしても、闇金業者の優しい言葉に惑わされ、藁にもすがる思いで「少額だけなら……」と融資を受けてしまうのです。また、誰もが知っている大手有名会社の名を騙ってDMを送ったり、チラシを作ったりすることで「あの会社のグループであれば大丈夫だ」と相手を信用させ、そこに付け込む手口も多く存在するので注意が必要です。中には、ホームページに堂々と「ソフト闇金」と記載されている業者もあって個人的に大爆笑してしまった経験もありますが、闇金にソフトもハードもありませんので、こちらも引っかからないようにしてください。