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夏に読みたい「怖い話」

心霊現象よりも怖い「闇金」取り立て現場のリアル

優しい口調から一転、突然態度を豹変させる瞬間とは――

2019/08/11

頼んでもいない出前が大量に届く「闇金あるある」

 融資を受けるには、はじめに「審査」という名目で、相手方に身分証明書の写真、住所、勤務先・学校、家族や親族の氏名、電話番号の情報などを送るよう指示されます。

 審査は30分ほどで終わり、口座には融資額から「手数料」、「信用を作るための実績費用」などが引かれた金額が振り込まれ、だいたい10日前後を目安に返済日が設定されます。例えば2万円の融資を受ける場合、手数料で5千円を差し引かれ、実際は1万5千円しか入金されていないにもかかわらず、10日後には融資額の2万円+利息分で3万円の完済金を要求されるということもあるのです。ここでもし3万円を用意できなければ、利息分1万円だけを支払う「ジャンプ」をすることも可能ですが、元金がそのまま残ってさらに利息が付く形になるので、次回の返済の際にまた3万円の返済を求められ、毎回利息だけを支払い続ける人も少なくありません。

 順調に返済が進んでいるうちはいいのですが、返済日に利息分すら支払えないという場合、闇金業者は優しい口調から一転、突然態度を豹変させます。実際に相談を受けた中では、返済日に入金の確認ができなかった業者から電話がかかってきて「お前の住所分かってるんだから殺しに行くぞ」と脅され、実際に相手方が夜に自宅にやってきたケースもあったようです。また、闇金業者からの執拗な嫌がらせに困り果てて事務所に相談を持ちかけてくる人も多くいます。一番よくある嫌がらせは本人の職場や、配偶者や兄弟の職場、子どもの通う学校へのイタズラ電話で、悪質な場合は救急車や消防車を家や勤務先に何台も呼ばれたり、頼んでもいない出前が大量に届くことも「闇金あるある」です。

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 お金を借りた本人にとっては身内や職場にバレることがもっともダメージが大きく、死に物狂いで返済金を用意しようとするので、闇金側からするとこれらは非常に「効果的な回収方法」であるというわけです。

攻撃の矛先がこちら側に向くことも

 司法書士は、代理人として闇金業者とコンタクトを取り、問題解決に向けて話し合いを進めます。大体の業者は司法書士や弁護士が介入した時点で手を引くことが多いものの、相手方がたいへん好戦的である場合は、攻撃の矛先がこちら側に向くことも少なくありません。覚えている限りでは、複数人が何台もの電話を使ってお客様対応用のダイヤルにひっきりなしに電話をかけてきて、電話に出れば大声で怒鳴る、ゲラゲラ笑う、「おいブス! ブーーース!!」などと口汚く罵るなどし、仕方なく事務所の電話回線を一時停止せざるを得なくなったこともあります。

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 また、嫌がらせで事務所に突然大量のピザが届いた際、ピザ屋さんには申し訳ないながらも「頼んでいませんので」とお断りをしようとしたところ、「嫌がらせをしたい闇金 VS 絶対に受け取りたくない弊事務所 VS なんとしてでも受け取ってもらわなければ店長からギタギタに怒られるピザ屋の店員」という三者間の抗争が発生し、事態が大変厳しいものになったこともありました。