「このような輩が社会から一掃されてくれれば」とは思うものの、闇金業者の多くが使用している携帯電話、銀行口座は「融資の条件」として一部の客に契約させて送らせたものであるため、いざ警察が介入したとしても(そもそも民事不介入なので、通常は警察に闇金からの借り入れについて相談をしてもなかなか取り合ってもらえない)、足がつきづらいのが現状のようです。なお、業者に携帯電話、銀行口座を売ったり送ったりすると、犯罪に加担したとみなされ、警察の捜査が及んだ際に口座が凍結される上、刑罰を受ける可能性もありますので絶対にやってはいけません。
闇金からお金を借りることのリスク
闇金からお金を借りるのは、今後の人生にも関わる大きなリスクを背負うことです。一度借りてしまうと、業者の間では「顧客リスト」として個人情報の売買が行われますし、たとえ大金を支払って完済したとしても、闇金にとっては単なる「金づる」でしかなく、その後も複数の業者から執拗に営業の電話がかかってくることになります。仮に電話を無視していても「押し貸し」といって、自分の銀行口座に勝手に少額が振り込まれて「融資したから10日後までにいくら払え」と因縁をつけられる、非常に悪質なケースも多く報告されています。
もちろん弁護士や司法書士に介入してもらうには依頼料がかかりますし、他者が介入することでかえって嫌がらせが激化する恐れもあります。相手がどういった対応をするかも分からないので、100%問題が解決する保証もできません。また、人並みの倫理観を持った方であれば絶対にやらないと思いますが、「闇金から借りたお金は返す必要がないので、うまくやれば借金を踏み倒すことができる」と主張する人もいます。たしかに闇金からの借金は「不法原因給付」に該当するので法律上返還義務はありませんが、そんなことをすれば相手の激しい怒りを買うことになり、どのような事態になるかは予測ができません。色々と申し上げましたが、少しでも「怪しい」と思った業者との接触は、絶対に避けることをおすすめします。
このような話をするたびに「借りる方がバカだ、自業自得だ」と言われることも多くありますが、以前「『貧困は怠慢だ』と言っている人が知らない『見えざる弱者』の実情」という記事でも書いたとおり、極度の貧困状態にある人は孤独で、誰からも見放され、精神的に追い詰められて判断能力が正常に機能しなくなる傾向にあります。本当に狂っているのは、批判されるべきは、彼らを利用し、搾取する側の人間です。
この記事を読んだあなたには、間違っても「貧困は自己責任だ」と言わないでほしいのです。社会制度の狭間に取り残されてしまった彼らがどうしてそうなってしまったのかを、少しでも気に留めていただくきっかけとなれば幸いです。人々を食い物にする反社会的なビジネスは、我々にとっては心霊やもののけの類よりも現実的で、誰にでも起こりうる「怖い話」なのです。