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千賀滉大、大野雄大、上野由岐子……ノーヒッターが参加していた“鴻江合宿”の秘密

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/09/26
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 グラウンドにいるのは1日数時間程度だが、投手は1月半ばにして捕手を座らせて投げる。フォームを作り上げていくためだ。また、期間は短いが、1日は長い。夜はトレーニング場でVTR確認。8台のカメラで撮影をし、通常映像のほかにスーパースローで再生できるカメラも用いる。「指導前/指導後」が一画面で確認できるように編集されたものを、本人だけではなく周りの選手やスタッフみんなで見る。たくさんの意見が飛び交う。この時間がとても密度が濃く、そして欠かせない時間となっている。気づけば“午前様”になっているのが当たり前だ。

 鴻江氏は言う。

「迷いは上達の敵です。時間もかかるし、怪我を招く。自分を知り、自分の進むべき道を見つければ、人は、自分の能力の中で一気に成長を果たしていくのです」

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気が早すぎるが、1月が待ち遠しい

 今年1月はマリーンズの種市篤暉が初参加した。昨年までプロ未勝利だった右腕が今シーズンは8勝2敗、奪三振率10.41と飛躍を遂げた。昨年初参加したのがライオンズ榎田大樹(まだトレード前だった)で、昨シーズンは自身初2桁勝利の11勝を挙げた(今年は……、うん来年に期待だ!)。

 また、この合宿経験者からノーヒッターが生まれるかも。そんな期待もしている。17年に参加した今永昇太(ベイスターズ)や美馬学(イーグルス)はかなりの有力候補か。過去に何度も訪れた吉見一起(ドラゴンズ)だって注目だ。

 来年1月の合宿の準備も少しずつ始めている。また新たな参加メンバーが加わるかもしれない、という話も出ている。また楽しみが増える。気が早すぎるが、1月が待ち遠しい。

 ただ、今シーズンがまだ終わっていない。ホークスのリーグ優勝の夢は24日に潰えてしまった。中4日で先発した千賀がイーグルスのウィーラーに痛恨の逆転2ランを浴びた。茫然と打球を見送り、悲しげな表情を浮かべたエース。見ている方も辛い気持ちになった。この1つ前の登板だった19日のバファローズ戦(ヤフオクドーム)。千賀の登場曲は、WANDSの「世界が終わるまでは…」だった。千賀本人に訊ねると「自分が好きな曲なんで、特別な意味はないです」と笑われたが、やはりこの言葉が頭に浮かんでしまった。

〈諦めたら、そこで試合終了ですよ〉

 じつはそのようなメッセージが込められていたのかな、と未だに思っている。まだホークス球団史上初の3年連続日本一という目標が残っている。気持ちを切り替えるのは容易ではない。だけどチームを信じて熱い声援を送り続けるファンがいる。だから、前を向いて、最後の最後まで目一杯戦ってほしい。

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