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余命宣告を超えて生きている意味

「僕はツイてるから余命宣告を超えて生きているだけだと。ところが主治医からこんな話をされたんです。アメリカで、何があっても楽天的な患者と不幸だと考える患者を集めて、どちらに薬が効くかを研究したら、楽天的な患者の方が効いたというんですね。で、先生がこう言いました。

『海辺の映画館―キネマの玉手箱』撮影風景 提供PSC

『がんで亡くなる日本人の多くは、もう助からないと自分で決めてしまう。助かると自分で信じられたら薬も寄り添ってくれます。だから監督のような人は、抗がん剤を飲み、実際に余命宣告を超えて生きていらっしゃるんですから、その体験を世間に公表して下さることが医学にとってもありがたいことです』

 そう勧められたので、『わかった、それじゃあやりましょうか』と心を決めたわけです」

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©文藝春秋

「文藝春秋」10月号では、大林監督が、余命3カ月宣告を受けてからの治療の経緯、がんになったことで起きた体の変化、良い患者に徹するという主治医との付き合い方、そして、これからも映画を撮り続けたい理由などについて8ページにわたって語っている。