昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

国内FA権取得の中島卓也選手 決断を待つ間に私たちができること

文春野球コラム クライマックス・シリーズ2019

2019/10/14

 2015年のように盗塁王もベストナインも取っていたなら、2016年のようにフルイニング出場で日本一にもなっていたのなら、私たちの心はもう少し落ち着いていたのだろうか。中島卓也選手、今シーズンの出場は120試合。そのうちスタメンは91試合で、あとは途中からの出場で代走と守備固めだった。だから、FAについて「相当悩むと思います」と言われても、私たちはただ「いい子」になるしかない。

今季国内FA権を取得した中島卓也 ©時事通信社

ファンを一喜一憂させる「北海道で一番モテる男」

「ぼく、ごはん作ってくれる人いるんで」

 昨年12月、ラジオの公開生放送のゲストに中島選手を迎えて食事の話題になった時、2000人以上のファンの目の前でこのフレーズが飛び出した。独身の中島選手は札幌で一人暮らし。ファイターズが毎年夏のイベントで恒例にしている「彼氏にしたいナンバーワン選手権」では5回中4回の1位。私は中島選手のことを「北海道で一番モテる男」だと思っている。その彼があっけらかんと「作ってくれる人いるんで」と言った時、会場はまずしんとなった。

 ……慌てるMC(私)……やがて、種明かし。

 彼はしっかりと栄養管理をして食事を作ってくれる料理代行者と契約していた。晩御飯と朝御飯を作り置きしてもらって、それをひとりで温めて食べる。

「だから電子レンジの使い方、ぼくやばいっすよ(笑)」

 一気に会場の空気が解凍されたのを肌で感じた。そのくらいの彼は人気選手だ。ひとつひとつの言葉にファンは一喜一憂する。

 シーズンが終わってすぐには、3日間、人生2度目の断食をしたという。疲れた体を断食でリセットすると、頭の中までもがすっきりすると、元ファイターズで現ベイスターズコーチの坪井智哉さんに詳しく教えてもらったことがある。そういえば、この断食の流れをファイターズに作ったのは誰だったんだろう。坪井選手だったのか、建山義紀投手だったのか……。

 いつからか、毎年オフになるとファイターズの選手の誰かが断食をしているという話を聞くようになった。今の選手にその効果を教えたのは田中賢介選手で間違いないと思う。今シーズンで20年の現役生活にピリオドを打った賢介選手は食事に関するこだわりが強く、その豊富な知識を惜しみなく後輩にも伝授した。中島選手の料理代行スタッフも賢介選手が独身時代にお世話になった方と同じだと聞く。「食事の時間が嫌いで、無理やりご飯を食べている」とまで言うくらい食の細い彼には百人力のサポートだろう。そして何よりファンが安心だ。ナイター終わりのすすきのは美味しいものも多いけど誘惑もとっても多い。