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交流戦も、全カード負け越しの憂き目に……

 交流戦の途中からスクラップブック二冊目がスタート。6月12日の対楽天戦を報じる紙面では「ヤ連敗止めた 1イニング代打4人」とあり、「代打の山崎 代打の荒木 代打の大引 代打の西田」と続く。その片隅にあるのが「YS広岡三振 開幕最長タイ41打席無安打」の文字。この頃の廣岡大志ははたから見ても苦悩にあえいでいるようで、見ていて辛かった。頑張れよ、廣岡。腐るなよ、大志。そんな思いで見つめるだけだった。

 しかし、その翌日の対西武戦で、廣岡に待望の今季初ヒットが生まれる。見出しにはならなかったが、「ほっとした。1本出て気持ちが変わる。これから続けていきたい」と前向きなコメントが掲載され、ホッとひと安心。ここから最終的にホームラン10本、打率2割台に乗せたのだから、今年の廣岡は偉かった。20年は頼むぞ!

 6月21日付には、少々悪意のある見出し「YS山田本塁打打つとチーム10連敗」とある。何だよ、この見出し。じゃあ、ホームランを打たない方がいいみたいじゃないか。こういうのは好きじゃない。奥さん、そう思いませんか? 22日の対ロッテ戦では「初の5番スタメン きんに君初猛打賞」とある。ルーキーの中山翔太も、今季の希望の光だった。よく言えば「豪快」。悪く言えば「強引」。彼の持ち味を殺さず、どのように育成していくのか、温かく注目していきたい。

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 24日には交流戦が全日程終了。結局、ヤクルトは全球団に負け越し。昨年のような、交流戦での巻き返しはならなかった。しかし、この日は朗報も届く。「YS村上 球宴ファン投票 19歳初選出」とあり、同じくファン投票で選ばれた山田哲人と笑顔のツーショット。村上と山田。ヤクルトが誇る二大スターだ。いつの時代も、停滞した雰囲気を打破してくれるのは若い力なのだ。

 ……ふぅ、開幕からオールスター戦まで一気に駆け抜けてみた。ご存知の通り、このままヤクルトはなす術もなく最下位に沈んでいくわけではあるが、その中にも希望の光は確かに存在した。残念ながら、ここで紙面が尽きた。ということで、後編は改めてご紹介しよう。ひとまずは、ここまで!

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