昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

NHKのスーパーエリート、有働由美子がお茶の間の主婦に嫌われないワケ

気取らないイイ女。女子アナは有働一強時代です

2017/02/21

「寂しい独身女」というセルフイメージ

 夕方のスーパーにて、家族のためにご飯を作るのであろうお母さんたちに紛れてレジに並ぶ由美子。「こんなに混んでいるのに、一人分でごめんなさい」「かごの中身が人生の薄さのように見え、言いようのない虚しさにさえかられる」考えすぎだ由美子。そんな矢先、後ろに並んだ小学生が無邪気にこう言ったそう。「おかあさん、この人のかごはさびしいね」。それを聞いたお母さんが一言「そんなかわいそうな人のかごの中とか、見てはだめ」。

 このくだりを読み、そこそこの数の人間が「……由美子、話盛ったね」と思ったことでしょう。そもそも夕方のクソ忙しい時間帯、列で歓迎されるのはスカスカのカゴの方と相場は決まっておりまっせ!!

 華やかな仕事してますけど、家に帰れば悲しい一人もんですよ……。こちら「どぶろく特集」のときの由美子。「私以前どぶろくにハマってたんですよ。でも女でどぶろく飲むなんて怖いって言われて」とどこに向けてか分からないアピール及び言い訳をかます由美子。おそらく由美子の中で「寂しい独身女」+「男社会に馴染む勝気な女」=「ひとりどぶろくを飲む女」というセルフイメージがあるのでしょう。昭和か。ひばりか。一人酒場で飲む酒は~か。

スタッフには「クロウドウ」と呼ばれることも ©文藝春秋

有働さんの親近感のひみつ

 そんな、気どらないイイ女イメージが若干90年代手前で止まっている感もある由美子ですが、由美子の親近感大作戦の神髄がダダ漏れとなるのは、やはり金曜日の「プレミアムトーク」でしょう。

 先日『べっぴんさん』の栄輔役でおなじみの松下優也がゲストで来たときのこと。まず、ゲストが若手俳優のときに現れるのが「仕事を忘れイケメンにはしゃぎすぎる由美子」。オープニングの立ちトークから既に始まっている、由美子の親近感劇場。分かりやすくニマニマしながら、ゲストにちょっと近づいたり、いやいやと離れたり、オートマチックにテンション爆上げ。

 トークが盛り上がってくると今度は「相手が関西出身だと仕事を忘れてついつい関西弁が出ちゃう由美子」がやってきます。これ、いわゆる「由美子のビジネス関西弁」というやつ。そしてこの一連の由美子劇場、ゲストの体調や心境をなぜか母親目線で心配し始める「おかん由美子」がラストに登場しておひらき。親近感というより膨満感……。

 有働由美子。全てにおいてやりすぎてしまう女。以前番組でタモリが「ゲストを大事にしながらどこかでバカにしてる」と有働アナを評しておりましたが、さもありなん。優秀だからこそ相手が自分に求めているであろう姿を察知し、その5割増しの味付けで返してしまう。それが人によっては「バカにしてる」ようにも映ってしまうというのは分かる気がします。確かに有働アナの「イケメンにはしゃぐ女」の小芝居とか、やりすぎた子役に近いものがありますからね。

ガチガチの男社会で生き抜いてきた

 一方で有働アナは「自分はNHKのエリートアナ」という自負が少々強すぎるのかなとも思うのです。その自負が一般の主婦目線に“降りなきゃっ”という謎の強い思い込みを生み、やりすぎ演出につながる。バンジージャンプってありますよね。『あさイチ』で、有働アナはエリートアナという崖の上から決死のダイブを試みたわけですよ。しかし背中についた“プライド”という名のロープが由美子を時折崖に引き戻そうとするのです。

「私は!ダメで!雑な!独身女!!」ビヨヨ~~ン

「いえいえ!私は!NHKの!トップアナ!!」ビヨヨ~~ン

 この行ったり来たりのビヨヨ~ンに「ここまでしないとガチガチの男社会では生き残れない」という悲しい現実も見るわけですが、最終的には「由美子やっぱり考えすぎだ」というところに着地する。有働アナ、ツイッターやったらプロフィールに「ときどき毒吐きます」って書くタイプだろうなと思いました。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー