北九州市の特定のエリアになぜか集まっている、3つの“特殊な”事故物件。まずは1つ目として、4人の女性が集団自殺した物件を紹介しました。次にお話ししたいのは、そこから徒歩圏内に位置する別のマンションです。始まりは、「あの部屋に住んでいる女性の姿が見えない」という、住人からの通報でした。
(全3回の2回目/#3に続く)
身元の特定すら困難なミイラ化した遺体
警察が部屋に駆けつけると、中から3人の遺体が見つかりました。しかし、いずれもミイラ化、もしくは白骨化していて、身元の特定すら困難な状態。かろうじてわかったのは、どの遺体にも外傷や争った形跡が見られないこと、そして少なくとも1人の死因が餓死であること。さらには、以前はその部屋からしばしば、太鼓の音やお経を読む声が聞こえていたということでした。
元々そこは、高齢の女性が1人で暮らしていた部屋でした。おそらく、彼女が3人のうちの1人なのでしょう。しかし、残りの2人は一体何者なのか。そして、近所の人が耳にしていた「太鼓やお経」は何だったのか……。
“真相”に迫る鍵は80年代の死体遺棄事件にある
あらかじめ結論から言ってしまうと、この3人が誰なのか、なぜ死んでしまったのかについては、遺体の状態が悪すぎたため、はっきりとしたことはわかっていません。ただ、この事件の“真相”に近づくためのヒントはあります。実は、この部屋の所有者の女性は、80年代にある死体遺棄事件を起こしていたのです。
私が事故物件の情報サイト「大島てる」を開設したのは、2005年(平成17年)のことでした。当然、サイトに掲載されているのはそれ以降に起きた事故や事件についてのみであり、サイト開設以前に生じた昭和の事故物件についての情報は載せていません。
そのため、この女性が80年代に起こした事件についても、私はリアルタイムで知っているわけではありませんが、後から報道などで知った事実をまとめると次のようになります。