きょう2月26日は、サッカーJリーグ横浜FCの三浦知良の誕生日である。1967年生まれのキング・カズは、ついに現役のまま50歳を迎えた。
15歳にしてブラジルに渡り、19歳でプロデビューしたカズ。1990年に帰国すると、Jリーグの前身・日本サッカーリーグの読売サッカークラブ(現・東京ヴェルディ)と契約を結んだ。このとき先輩のラモス瑠偉が33歳でなお動き回る姿を見て、23歳の彼は「なんであんなに走れるのかな」と不思議でならなかったという。それが歳を重ねるにしたがい、彼自身がそう思われる存在になっていった。
そのカズが「いま僕は、身体的にも、ある意味で未知の領域を歩いているのだと思う。90分走れる身体がいったいいつまでどこまでもつのか、僕にも誰にもわからない」と書いたのは43歳のときだった(三浦知良『やめないよ』新潮新書)。さらに4年後、整形外科の権威とされる医師に、いまやっているトレーニングの量を増やしたら、やりすぎになるかと訊ねたときには、こんなやりとりがあったという。
「うーん、37歳なら分かるんだけどね、47歳となるとなあ……。まあ君も年齢が年齢だから、気温10度以下の場所では、やるな。休んで。あと湿度の高いところとかも避けて」「……先生、それじゃ僕、プロとしてできないじゃないですか」(三浦知良『とまらない』新潮新書)
どうやら医学的見地からは、もはやカズに明確な助言を与えられない域にまで達してしまったらしい。しかし彼は自分を追いこむことをやめない。後ろを振り向くこともせず、その目には「今日」しか映っていないという。『日本経済新聞』に今月17日に掲載されたコラムも、このような言葉で結ばれていた。
「Jリーグ創設時の20代が一番かというとそうでもなく、きょう、今向き合う1日が最も充実していると素直に思える。50歳はまだ5合目、見習いのカズです」
50歳の誕生日はJ2開幕戦(対松本山雅戦)と重なった。キング・カズには、2年ぶりの開幕スタメン入り、さらにプロ生活32年目にして初の開幕ゴールの期待も高まる。