日本の場合、標準税率が10%で、軽減税率は8%と、ほとんど差がないが、欧州の場合、標準税率と軽減税率の差が大きい。ドイツの場合、標準課税が19%なのに対して、軽減税率は7%で、食料品や新聞、雑誌、書籍だけでなく、水道や旅客輸送も軽減税率が適用されている。生活必需品の税率は低く抑えるという考え方で統一されているわけだ。
この21年間で「読売新聞丸ごと分」が消えた
しかし、なぜ、日本は紙の新聞だけなのか。しかもわずか2%分で勝ち誇ったかのように「軽減税率」獲得に歓喜するのか。
月ぎめの購読料は、朝日新聞と毎日新聞が4037円、読売新聞が4400円、日本経済新聞が4900円(消費税込)である。最も高い日経新聞で仮に標準の10%の税率が適用された場合、消費者の負担増は91円だ。4900円が4991円になって読者が激減するほど、自らの「紙の新聞」の質に自信がないのだろうか。本当に必要なモノであれば、税率が2%上がったからといって慌てる必要はないのではないか。
背景には、紙の新聞の凋落がある。
毎年1月に日本新聞協会が発表する前年10月時点での日本の新聞発行部数は、2018年は3990万1576部と、2017年に比べて222万6613部も減少した。14年連続で減少しており、2019年も下げ止まる気配はない。新聞発行部数のピークは1997年の5376万5000部だったが、ついに4000万部の大台を割り込んだのである。
21年で1386万部、率にして25.8%減というのはすさまじい。日本最大の発行部数を誇る読売新聞1紙がまるまる消えたのと同じである。
しかも、2017年から2018年にかけての222万部減という実数も、5.3%減という率も、過去20年で最大の減少だった。まさにつるべ落としで、2019年に減少ピッチが鈍化するのか、さらに加速するのか目が離せない。
ネットで儲かる仕組みができていない
明らかなのは、世の中から「紙の新聞」が姿を消そうとしているということだ。大学生や20代の社会人は紙の新聞をまず読まない。定期購読しているのは比較的年齢が高い層の家庭で、しかも、団塊の世代が70歳代半ばに差し掛かるとともに、新聞の購読を止める人が増えている。