関西出身の僕が楽天ファンになったきっかけとは
プロ野球ファンの皆様、こんにちは! 今シーズン、東北楽天ゴールデンイーグルスについて熱く熱ーく語らせていただきます、松竹芸能のピン芸人かみじょうたけしです! 芸人になって20年、こんな日が来るなんてっ!
思えば、初めて頂いた仕事は風俗嬢が作ってくれた手料理(おがくずに醤油をかけた物)を喜んでどれだけ沢山食べる事ができるかという番組のコーナーでした。なぜか優勝し、事務所のマネージャーから「方向性見えてきたやん」。あの時辞めなくて良かったぁー。9年間やってきた漫才コンビ、ロビンスを解散した時、相方から「一緒にハリウッドに行かへん?」。行かなくて良かったぁー。
ピン芸人になり、板東英二モノマネ芸人でご飯が食べられるようになった頃にあの脱税植毛事件。あるTV局からは関係ないのにほぼ出禁などあり仕事が激減。それでも挫けずやってきて良かったぁー! 20年目の節目の年に、何かしら今までやった事のない事に挑戦したいと思っていた自分にとってはこれしかないと思える企画でした! おおきに饅頭ですっ!
さて、そんな関西在住の僕がなぜ東北楽天を応援するようになったかをお話ししときましょう。
それまでプロ野球の贔屓チームがなかった僕は2005年シーズンが始まってすぐのこと。その昔イチロー選手から缶ジュースをご馳走になった事があるという逸話を持つ先輩に誘われ、芸人4人で当時のスカイマークスタジアムにオリックス戦(オリックスvsソフトバンク戦だったと記憶している)を観に行った。球場が北神戸ということもあり、春先はまだ平気で気温ひとケタ台になるにもかかわらず、キンキンのビールを飲む芸人達。おのずと尿意をもよおす訳でして、一人の後輩が「トイレ行ってきます」に対し「つまみ買うてきてやー」。こんな会話があったかは覚えてないですが、数分後に彼はTシャツ一枚にかき氷を食べながら現れたのです。これが面白いか面白くないかは今はおいときまして、めちゃくちゃ寒いのに、さっきより薄着で冷たい物を食べながら現れる。そうです、芸人のボケです。これを面白くないとスカして終わらせるのは簡単なのですが、お笑いは共同作業なのです。
一目惚れした「左肩のワッペン」
しばらくして「俺もトイレ行ってくるわ」。数分後、その人はオリックスのビジターユニホームに身を包み帰ってきました。どういう種類のボケやねん。残るは、イチロー選手にご馳走してもらった事がある先輩と僕。もちろん僕の番である。「トイレに行くのに何で金使わなあかんねん。僕は普通にしょんべんしてきますわ」と言い残して売店へ。色んなグッズがある中で、一瞬シアトルマリナーズのユニホームに手を伸ばしたものの、1ボケのために2万円以上も出せないし、お金もない。そんな僕の目の前に飛び込んできたのが左肩に「FIRST SEASON 2005」の文字が刺繍されたクリムゾンレッドのユニホームだった。
ちょっと待てよ……FIRST SEASON……今年からのチームではないか!
このチームを応援すれば創設時から応援できるではないか。しかもお世辞にも強いとは言えないチーム。つまりこれから年々成長していくチームを応援できるではないか!僕の胸は高鳴った。えっ、ボケ? ボケなんかやない。このユニホームむちゃくちゃ欲しい。俺はユニホームを買ってこのチームを応援するんだ! 俺は今日から楽天ファンになろう! 長々と昔話をしましたが、こうして楽天ファンかみじょうたけしは誕生したのですっ。
2005年から数えて今年で13年目と歴史は浅いチームですが、2013年には悲願の日本一を達成し、今年のチームスローガンが「東北・夢・再び」。もう一度、日本一を取る自信と確固たる信念がないと唱えないはず。僕自身も今シーズン確固たる信念でこの企画に挑戦し、イーグルスのように成長していく姿を皆様にお見せできるよう精進いたしますので、何とぞ応援よろしくお願いいたします!
ちなみに、イチロー選手にご馳走してもらった逸話を持つ先輩が、シアトルマリナーズのユニホームでトイレから帰ってきたという事はお伝えしておきます。
◆ ◆ ◆
※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。