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結末はどうだっていいんです。プロセスが面白い。

―― そのようなスタイルだと、台本は作らないんですか?

 もちろん。そんなもの作ったら面白くないもん。台本作るとそのとおりにやろうとするじゃないですか。そうすると、ドキュメンタリーでもニュースでも何でもなくなっちゃうんだよね。要するに、頭から結末まで全部計算したものを出そうとするわけ。それが演出だと思い込んでるアホが多いんだよね。予定調和をしてはダメなんです。僕は、番組を作りながら台本を書いてるから、台本は放送が済んでからできる。

 

―― 撮影しているときは、結末が見えてないわけですね。

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 結末はどうだっていいんです。プロセスが面白いわけであって、分からない結末を探していくという、そのプロセスを見ている側も楽しむわけですよ。制作者側もそれを追求していくわけでね。見ている側は、自分も探偵になったような感じになれるんだね。ところが、今の番組の作り方というのは、ドキュメンタリーでさえ、まず結末を先に考えてる。

―― ドキュメンタリーは、プロセスこそが重要なんですね。

 だから基本1カメなんです。その方が、臨場感があるし、全部自分がやってる気持ちになれる。いまだにみんな覚えてるのは、自分が一緒に参加してるつもりになってたからだよ。当時もUFO番組を作ってるやつがいないわけじゃなかったんだろうけど、今のとは雲泥の差なんだ。作り方が全然違うんです。日テレを辞めてから、初めて「矢追純一の」という冠をつけて、僕が画面に映るようになったんだけど、それまではなるべく映らないようにしてた。肩なめぐらいにしてさ。見ている側が一緒に行ってる気になれないとつまらないからね。

―― ドラマと全然違う方法論で、ご自分のドキュメンタリストとしての道を見つけたんですね。

 そんな大層なものじゃないけどね。何も考えてませんよ。

笹山さんが持参した「矢追本」に「懐かしい本持ってますね」と矢追さんはニッコリ
「これ、けっこう貴重な本なんだよなあ。あと『カラスの死骸はなぜ見あたらないのか』と『地球人(アーシアン)へのメッセージ』も珍しい本になってるはずです」
「若いね」

―― 当時、ライバルはいらっしゃったんですか?

 競争がすごい嫌いなんです。だから、競争はしたことがない。周りのことが全く気にならないから、自分に忠実に、好きなように生きてるだけなんです。会社だろうが何だろうが知ったこっちゃない。

―― 他局のディレクターの方との交流はありましたか?

 交流会みたいなものはあったね。同期ぐらいのやつを各社から集めて、サークルみたいなものを作って、「テレビは芸術たりうるか」みたいなことを侃々諤々やってたことがあるんだよ。でも、つまらなくなってやめたんだね。それぞれが勝手なことを言っているだけで、何のまとまりもない。その頃に同期だったのは、実相寺昭雄、今野勉、田原総一朗とかだね。

―― すごいメンバーですね。実相寺さんと言えばウルトラマンシリーズの演出を手掛けた方ですし、今野さんはのちに「テレビマンユニオン」を立ち上げるテレビマンですよね。田原さんは当時テレ東のディレクターだったと思いますが、どんな方でしたか?

 12チャンネルのね。でも全然、覚えてないね。忘れたよ。

―― 今も交流はないですか?

 ないです。過去は切り捨てるので、一人もいないですね。

―― 競争が嫌いといっても、テレビにはどうしても視聴率が付いてまわるように思うんですが……

 でも、それも気にしたことないから。視聴率を取りにいったら多分失敗するよ。スケベ根性が見え透くからね。今の番組がつまらないのはみんなそうだよ。視聴率取りたくて、スケベ根性が丸見えだからダメなんだ。大体、3歳から90歳までを取り込もうと思うこと自体が無理なんだよ。みんな嗜好が違うからね。どこかにターゲットを絞らなきゃしょうがないのに、オールラウンドにやったほうが視聴率を取れるんじゃないかと考えてる。そうではなくて、自分が情報の発信源になるわけ。発信する側として、自分のポリシーをもつ。それがいかにエキセントリックなものであろうとも、そいつがそれにこだわっている以上は、見ている側も面白いんです。

後編はこちら

「僕が入ると後ろの国立競技場、UFOに見えちゃうかな?」

やおい・じゅんいち/1935年、満州国新京に生まれる。中央大学法学部法律学科卒業。1960年に日本テレビ入社。「11PM」「木曜スペシャル」などを手がけ、特にUFO、超能力、超常現象、ネッシーなどをテーマにした番組で話題を作る。「宇宙塾」主宰。石川県羽咋市にある宇宙博物館「コスモアイル羽咋」名誉館長。著書に『ヤオイズム』など。

 現在、メルマガにて小説を執筆中。「ハードボイルドのアクションもの。UFOとか世界の裏側とかの情報が満載になってます」

写真=鈴木七絵/文藝春秋