「UFOの人」としてベールに包まれている矢追純一さんに迫るインタビュー。後編は「矢追純一という人間をやってます」と語るその人生観、知られざる「満州体験」、そしてスタンリー・キューブリックとの出会い、イモトアヤコへの評価まで81歳の心境を伺った。嫌いな食べものも初告白!
UFOなんかどうでもいい
―― お話を聞いてると、矢追さんは、生きることに対してとても明るく、肯定的ですよね。一方で、UFOとか超能力にのめり込んで、世の中に対して否定的に考えてしまう人も多いと思うのですが、どこに違いがあるんでしょうか?
どこにものめり込んでないもん。僕は別に好きじゃないから。どうでもいいんだ。そう言うと怒られるけど。
―― 私たちからすると、矢追さんはUFOにのめり込んでいる人だと思ってしまってるんですけど、実はそうじゃないんですね。
みんなそう思ってるらしいんだけど、バカだね。そういうふうに思いたきゃ思ってりゃいいじゃんって思うよ。僕には関係ない。だって、UFOなんかより自分の人生の方がよっぽど大事だからさ。
―― 割り切ってるんですね。
今日の夜に何食うかの方がよっぽど重大問題であって、UFOなんかどうだっていい。そうじゃない? 自分のこともなってないくせに、すぐUFOだの宇宙だの地球だののためにって偉そうに言うけど、自分がないからそういうことを言うのであって、自分がちゃんとしていれば、そんなところまで頭いかないですよ。
―― そんな大きいことを考えていられない?
今この瞬間をどう生きるかです。毎回真剣勝負です。わりといい加減に言ってるみたいだけど、今この瞬間も真剣にやってるんだよ。この瞬間にしか僕は生きてないから。1秒後は死ぬかもしれないからさ。人が死ぬのをいっぱい見すぎたせいもあるけどね。
―― ご著書の中には、10歳のときに満州で敗戦を迎えられ、2年後に日本へ引き揚げるまでの間、壮絶な体験をなさったことが書かれていますね。
目の前でバンバン人が死んだからね。だから、人間の命ってすごくはかないものだって知ってるんだよ。世の中の人って、100年も200年も生きるつもりでいるんだろうね。いい加減にダラダラ毎日生きてるってことはさ。それで、いっぱしの計画を立てて、自分では頭がいいつもりなんだよ。でも、いつ死ぬか知らないやつのどこが頭いいんだっていう話だよ。元気だろうが、若かろうが、突然死もあるじゃないですか。人間なんて先が見えないんだから、先のことを考えるのは無駄なんです。
―― 計画してはダメなんですね。
自分を振り返ってごらん。自分で計画してうまくいったためしないでしょう。人間に限らず、どんなことでも、一瞬一瞬変化してるんですよ。それをあらかじめ決めてその通りにしようというのは無理なんです。この瞬間で、もう全部変化してる。一つとして同じものはあり得ないんです。この瞬間が二度と来ないから、僕はここが真剣勝負だと言ってるわけ。自分勝手な思い込みで「こうなったら、そうなるだろう。そしたら、ああなるだろう」って、下手な将棋指しと同じなんだよね。で、大概外れて負けるんだけど。つまり、そんなに人間は先を決められないんです。