「知名度のピラミッド理論」とは?
「知名度のピラミッド」とは、ファンを3段階に分けたものだ。一番下は、何かしらのきっかけで倉持のことを知った人たち。その上に来るのが、彼女が載った雑誌や写真集などを実際に購入する人たちで、さらに頂点には、撮影会やイベントにまで足を運んでくれるコアなファンが来る。直接的な利益をもたらしてくれる頂点や2層目のファンを増やすためにも、まずはSNSでの自画撮りのアップを続けて一番下の知名度の層を広げることが必要だという。ただ、SNSで知名度を上げたいからといって、攻撃的なつぶやきなど“炎上商法”に走ってはいけない。そんなことをすれば、《たとえ知名度の層が爆発的に増えたとしても「炎上する人」としてしか見られなくなり、結局はアンチの数が多くなり、イベントへ来てくれるようなコアなファンの方すらも淘汰されてしまう危険性もある》と、倉持は警告する(※3)。このあたりは、グラビアアイドルにかぎらず、あらゆる人気商売に通じそうだ。
倉持が「#グラドル自画撮り部」と、ハッシュタグに部活動を意識した名前をつけたのには、グラビアアイドル界に「グループアイドルのような青春ストーリー」をつくりたいという思いもあった。グループアイドルが雑誌の表紙やグラビアをも席巻する状況にあって、グラビアアイドルに興味を持っている人たちのパイはあきらかに小さくなっていた。市場規模自体が縮小しているのに、グラビアアイドル同士で数少ないファンを取り合えば共倒れしかねない。そこで彼女は、グラビア界にも、グループアイドルが一丸となって東京ドームを目指すような一体感をもたらすべく、グラビアアイドルたちのあいだに部活動のような場をつくろうとしたのだ(※3)。その狙いは見事に当たった。ある意味で仇ともいうべきグループアイドルから、グラビア界再興の方策を見出したというのが面白い。
月36万円のタワマンに引っ越した理由
倉持は昨年、家賃36万円のタワーマンションに引っ越した。それというのも、毎月高い家賃を稼がなくてはならない状況に自分を追いこむことで、すべての仕事に全力投球する意識につなげたかったからだという。また、《「フラグシップになる人が華やかでないと下の世代がこの業界に夢を持てない」という思いもあった》とも語っている(※3)。
引っ越したタワーマンションは、ジムの施設がついていたのも魅力だったとか。ただ、いざ入居してみると、1年間でそのジムに行ったのはたった3回だったと、テリー伊藤との対談で明かしている。ここから倉持は、《さらに高い管理費を払うのがバカらしくなって。だったらいっそ、家を買ったほうがいいなと思いました》として、新たな夢を描く(※4)。それは、マンションか家を買って、グラビアアイドルたちが自由に使えるスタジオをつくるという夢だ。名づけて「尻スタジオ」――。