男は、刃物などはもっておらず、李氏に怪我はなかった。警察は男を羽交い締めにして拘束され、近くの派出所に連行されたが、後部座席に犯人が乗るパトカーの助手席に、なぜか李氏も同乗させられ事情を聞かれたという。
李氏は12月4日から毎週水曜日、同様の集会を続けていた。11日の集会でも、「日本にいくらカネをもらている」「恥ずかしくないのか?」「売国奴!」などという罵詈雑言が李氏に浴びせかけられていた。
男を批判しない韓国メディア
李氏は事件後、「週刊文春デジタル」の取材に、次のように語った。
「合法的に沈黙して行った集会に、暴力を振るうことなど到底あってはならないことです。韓国社会は実に問題が多いと感じます。特に問題なのは、今回の襲撃事件について、韓国メディアに男を批判するような論調が全くないことです。そもそも扱っていないメディアも多い。
韓国の言論は、私のような人物が物事を言う自由や言論の自由より、『反日種族主義』の方が重要だと考えているのです。だからこそ、この襲撃についても何の問題点の指摘されないのです」
それでも、李氏はこれまでのデモに、手応えを感じているという。
「応援してくれる人はたくさんいます。そういう応援してくれる個人も、表に出てはくれず、怖がる人がほとんどです。でも、最近は一緒に集会に来てくれる人も出てきています。Facebookにも『応援します』というコメントや「いいね」が何百件も寄せられています。こんな現象は、昔であれば考えられなかったことで驚きです。
正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯、旧挺対協)の日本大使館前の集会が継続する限り、また大使館前の慰安婦像が存続する限り、われわれの集会も続けていきます。今後、必要に応じて人数を増やして、継続させようと考えています」
李氏も執筆に加わった『反日種族主義』は、日本でも40万部のベストセラーとなっている。
「私たちのように考える韓国人がいることを、日本人は知らなかったかもしれません。本が広く読まれることは、韓国で私を応援してくれる人がいるように、韓日関係を客観的にみる努力をする日本人が多くなったのですね」(李氏)
李氏らが作る団体「反日銅像真実糾明共同対策委員会」は、李氏と男を隔離せずにパトカーに同乗させて任意同行したことに対して、警察を糾弾する声明を出したという。