ドナルド・トランプ 米大統領
「シリアで起こったことは人類の恥だ。私は、アサド大統領が実行したと思っている。何かしらの対応が必要だ」
ハフィントン・ポスト 4月7日
名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。世界情勢が一気に緊迫の度合いを増してきている。特に今日4月15日のニュースには注目しなければならない。
順を追って見ていこう。4月6日、内戦が続くシリアで政権側が化学兵器を使用したことへの対抗措置として、アメリカ軍はシリア国内の空軍基地に向けて巡航ミサイル59発を発射して攻撃した。
ドナルド・トランプ米大統領は「今夜、私はすべての文明国に対し、シリアの虐殺と流血、ありとあらゆるテロ行為を終わらせるために協力を求める」と声明を発表。これに対してシリアのバッシャール・アル=アサド大統領は「100%でっちあげだ。アメリカは、攻撃の口実とするため、すべて筋書きをでっちあげた」(NHK NEWS WEB 4月13日)と化学兵器の使用を否定した。
トランプ大統領はシリアを攻撃する法的根拠を示していない。「実行したと思っている」からミサイル攻撃を決断したということになる。また、シリアへの介入に断固として反対していた大統領就任以前の自身の公約にも反している。中東ジャーナリストの川上泰徳氏は、トランプ大統領のミサイル攻撃が「その時々の思い付き」であり「『決断力がある』というより無責任」だと指摘している(ニューズウィーク日本版 4月8日)。
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ドナルド・トランプ 米大統領
「私たちはテーブルに着き、晩餐後のデザートを食べるところだった。これまで食べた中で最高に美味しいチョコレートケーキだった」
ニューズウィーク日本版 4月13日
ところでトランプ大統領はシリアへの攻撃を命令したとき、フロリダ州パームビーチにある別荘で中国・習近平国家主席との晩餐の真っ最中だった。デザートのチョコレートケーキを食べる際、「たった今、シリアに59発のミサイルを撃った」と伝えられた習氏は10秒間沈黙したという。
はたして「最高に美味しい」とは、単にチョコレートケーキの味のことなのか、それともミサイル攻撃指令を下しながら食べたからなのか。チョコレートケーキを頬張りながら、思い付きでミサイル攻撃を指示する最高権力者――非常に不気味な光景であることはたしかだ。
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イバンカ・トランプ ドナルド・トランプ米大統領長女
「非人道的な恐ろしい犯罪行為を見過ごさなかった父を誇りに思う」
ニューズウィーク日本版 4月12日
シリアへのミサイル攻撃について、大きな役割を果たしたのがトランプ大統領の長女・イバンカ氏である。3人の子の母であるイバンカ氏が化学兵器についての報道を見て激怒し、トランプ大統領にミサイル攻撃を進言したというのだ。
トランプ大統領の次男・エリック氏は「イバンカは3人の子供を持つ母親で、大きな影響力を持っている。彼女はきっと『聞いて、こんなのひどすぎる』という具合に言ったと思う。父(トランプ)は、そういう時には動く人だ」(ニューズウィーク日本版 4月12日)と証言している。ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官も「トランプ大統領に影響を与えていたことに疑いはない」と認めた(FNN 4月12日)。
軍事アナリストの黒井文太郎氏は、「リビングで娘とテレビを見ていたら、シリアの惨状が流れ、一緒になって『許せない!』とブチ切れただけのように思います」(東京スポーツ 4月13日)とコメント。親娘でブチ切れてミサイル発射だなんて、本当に恐ろしい。
なお、トランプ大統領がシリアを攻撃したのは、自身とロシア政府との数々の疑惑をもみ消すためなのではないかという指摘もある。シリアの同盟国であるロシアのウラジミール・プーチン大統領はアメリカ軍による攻撃を強く批判。トランプ大統領は「現在、ロシアと米国とはうまくいっていない。ロシアとの関係は史上最低かもしれない」(CNN.co.jp 4月13日)としょげかえっている。