フリーに使えるキャッシュを自分たちの人生のために残す
Bさんの家選びの考え方を整理すると以下のようになる。
(1)家を選ぶエリアへのこだわりが強い
(2)ただし、過大な借入金は負いたくないと考えている
(3)家を自分たちが住むためだけの「消費財」と考えるのではなく、稼ぐ「資産」だと考えている
(4)実質のローン返済を家賃で賄うことで、フリーに使えるキャッシュを自分たちの人生のために残している
Bさんは、さらに同じ家の1階を貸しているだけだからと言って、特に管理会社に頼むことなく、1階部分についても自分たちで管理している。
「建物管理も自分たちでやってみると勉強になります。ここで稼いだお金とノウハウで、賃貸住宅に投資するのも悪くないかもですね」
エンジニアであるBさんによれば、ゆくゆくは自分が得意なITやAIを使って、家の中の空調管理や防犯管理もやりたい。立地がよいので、賃借人が退去したら、今話題の民泊もやってみたい、という。
ここが違った! Aさん夫妻とBさん夫妻の家選び
さて、Aさん夫妻とBさん夫妻の家選びを比較してみよう。
Aさん夫妻の家選びは、住宅ローンを夫婦2人で35年もの長きにわたって返済していく、これまでの親世代や祖父母世代がやってきたのと同じ方法による家選びだ。従来と異なる点は、返済エンジンが一気筒から二気筒となり、これに史上空前の低金利政策の恩恵を受けて、借りることができるローン金額が飛躍的に高くなったことだ。
しかし、住宅ローンは自らの給与債権のみを返済原資とするローンだ。夫婦ともに「今」の状態が35年の年月「変わらず」にいることが大前提でのローン返済ということになる。夫婦のどちらかに「何かがあった」場合、これを担保できる要素が、この計画には見当たらない。
いっぽうのBさんは、自分の家と賃貸資産を組み合わせることで、「返済原資を複数」持つことによって、返済負担を大幅に減らすことを考えてローンを組んでいる。
自らが住む家で稼ぐことができれば、多額のローンも怖くない。そして自分の貰う給与を、住宅以外の領域に充当することができる。
新築でも賃貸との併用を考えた物件が出始めている
最近は、新築でも、賃貸との併用を考えた物件が出始めた。同じ地面の上、自分だけで住むのはもったいないというものだ。
ましてや自分の人生で稼ぐお金を住むためだけの家にほとんど使ってしまうというのは、未来ある「これから世代」においてはあまり賢い生き方とは思えない。
人生は大切にしたいものだ。