天真爛漫な大将がいる京セラドームの『味9楽部』
今回は球場メシについて書いてみる。僕は楽天ファンながら関西在住ということもあり、プロ野球観戦なら、京セラドーム大阪に行くことが多い。電車で行っても最寄り駅から乗り換えなし、数キロあるにもかかわらず自転車で行っても家から左折一回で到着できるという素晴らしい場所にある。
そして観戦パターンとしては二種類あって、一つは三塁側内野席に座り、となりに1人で来ているサラリーマンが、申し訳なさそうに会社の鞄からイーグルスの帽子を取りだし、6つ180円のレーズンパンを食べながら、大声を出すこともなく淡々とイニングを消化していくというパ・リーグ野球ファンのお手本のような有段者を横目に1人観戦するパターンと、もうひとつはオリックスファンの野球仲間に1人楽天ファンが混じり一緒にビールでワイワイ言いながら観るパターンである。
どちらも好きなのだが大抵の場合、前者で始まり、お誘いの連絡で後者になだれこむパターンが多いような気がする。で、その時に集合する場所が、京セラドーム3階にある味9楽部というお店なのだ。鉄板を鏝でカンカン弾く音の心地よさがなんともいえないお店は大将、アルバイトさん、お客さんの笑い声でいつも活気があり試合内容を忘れるために駆け込むお客さんも多いように思う。
そして大将がまぁ天真爛漫。顔出すなり、
「板東さんなにしてますのん?」
「板東さん野球わかるんですか?」
「板東さん何卵にします?」
とにかく顔合わすなり即モノマネを振ってくる。しかもこんなのマシで、ひどいときなんかは新しく入ったバイトさんに、
「この人知ってる? 板東英二さんのモノマネする人。なぁ? 板東さん! なぁ? 板東さん! ちょっとモノマネやってあげてよっ。なぁ板東さん!」
街で出会ったら間違いなく一番ややこしいタイプである。しかしながら僕はこの大将の嫌みのない晴々とした人柄が好きで、いつも120%の板東英二で応えている。
忘れられない77円のビールと焼きそば
実はそんな大将が作る焼きそばが僕の球場メシなのだ。もっちもちの生麺でキャベツやお肉が盛りだくさん。今シーズンからは人参も入った。なぜここにきて人参を入れたのかは知らないが、とにかく味よし、腹持ちもよし、お値段よし(500円)。間違いなく京セラドーム最高の一品である! もはや球場メシではないが、試合終わりに一つ持って帰り次の日もっかいフライパンで炒めて熱々で食べるのもオススメ! 必ずやってますねっ。
そんな味9楽部との一番の思い出は日本一になった2013年の9月にリーグ優勝を決めてすぐの京セラドームの試合で敵地にも関わらず、はしゃぎまくる僕に、
大将「板東さんおめでとう! 優勝記念に俺からご馳走するわ!」
かみ「えー! でもさすがにタダは申し訳ないです」
大将「ほな星野監督の背番号にしよか!」
かみ「ごちそうさんですっ!」
あの時77円で飲んだビールと焼きそばは格別やったなぁ。きっと球場メシってその時々の思い出と一緒にご馳走になるから、ずっとその味は脳ミソが覚えているんだろう。そしてその時の記念に段ボールに書いたサインはいまだに味9楽部の壁にオリックスの選手やブライアント選手のサインと並んで飾られております。京セラドームで唯一、楽天日本一の足跡が残っているお店です! 是非皆さん確認してみてくださーい。