きょう5月9日は、俳優の松田龍平の34歳の誕生日である。デビュー作は映画『御法度』(1999年)。監督の大島渚は同作の製作を病気のため中断していたときに松田と出会い、撮影再開にあたり彼を主演に抜擢した。決め手のひとつとなったのは、松田が大島と同じく6歳のときに父親を亡くしたことだったという。
松田龍平の父親は、言うまでもなく俳優の松田優作である。龍平が生まれた1983年、父・優作は映画『探偵物語』『家族ゲーム』にあいついで出演、俳優として成熟しつつあったころだ。『探偵物語』で優作が共演した薬師丸ひろ子とは、龍平もその30年後、NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』で共演する。筆者は劇中で並んだ両者を見たとき、その身長差といい、龍平をどうしても父・優作と重ね合わさずにはいられなかった。そういえば、『探偵物語』の同名の主題歌で薬師丸は「あんなに激しい潮騒が」と歌ったが、これに対し『あまちゃん』で薬師丸の歌った劇中歌のタイトルは「潮騒のメモリー」であった。おそらく作者・宮藤官九郎なりの『探偵物語』へのオマージュであったのだろう。
俳優でもある宮藤官九郎とは、最近、ドラマ『カルテット』で共演したことが記憶に新しい。このとき松田龍平は、主人公のひとりで、冴えない性格ながらときおり突飛な行動を見せるバイオリニストを演じ、強い印象を残した。
ちなみに1949年(戸籍上は1950年)9月生まれの松田優作は、龍平出生時33歳。龍平は父が俳優として新境地を拓いた年齢を超えたことになる。今後、彼が大人の俳優としてどんなふうに成熟していくのか、楽しみだ。