球団が作ったラジオ局「Rakuten.FM TOUHOKU」

 皆さんはRakuten.FM TOUHOKUというラジオ局をご存知でしょうか? 観覧車にメリーゴーランド、ハクション大魔王にMR.ポテトヘッドと、プロ野球12球団で唯一楽天だけが持っているものはたくさんあるが、その中でも球団がラジオ局を持っているというのは僕達ファンの自慢である。

 2015年の8月9日(やきゅうの日)に開局し、まもなく2年が経とうとしている。Rakuten.FM TOUHOKU。昔のように巨人戦が当たり前に中継されていた時代はどこへやら、野球ファン離れが進み、小学生の将来の夢もサッカー選手に大きく水をあけられ、気づけば後ろからユーチューバーの足音まで……。

 そこで少しでも楽天イーグルスの試合中継が常にラジオで聴ける環境を作ることができれば、野球ファン、楽天ファンがもっともっと全国に広がるのではないか? いや広げていかなければならないんだ! という強い想いが開局に至った理由だという。開局にあたり、膨大な申請資料の作成や、宮城県、仙台市やメディアへの調整、スタッフ、パーソナリティー募集など様々なハードルを乗り越えてきた。

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 では、そんなRakuten.FM TOUHOKUのパーソナリティーさんを紹介しよう。2009年パ・リーグ首位打者に輝いた鉄平さんと「てつやなぎ」という音楽ユニットを組み、楽曲制作から喋りまでなんでもできちゃう柳雄介さん。あの爽やかでリスナーさんの心に優しく語りかける癒しの声はまさに東北の若宮テイ子さんではありませんか、タカキヨこと高野季世恵さん。イーグルスの選手情報はこの方が一番詳しいのでは? 細かい取材力が評判の可愛い可愛い菅野愛郁さんなど、ほか大勢のバラエティーにとんだ方々がハッピーな番組をお届けしてくれているのだが、ここで僕イチオシのナイスガイ! 河内一朗という男を紹介させてほしい。

Rakuten.FM TOUHOKUのスタジオ ©かみじょうたけし

独特すぎるラジオDJ・河内一朗の伝説

 彼は元々関西で活動していたラジオDJさん。独り身ならまだしも奥さんと子供がいる生活の中で、その仕事だけでメシを食べさせていく事ができず、悶々とした日々を過ごしていた。そんな時に東北でラジオDJの募集を見つけ、落ちたらきっぱり夢は諦めるつもりでオーディションを受け、見事合格。それを機に家族で仙台へ移住し、今ではRakuten.FM TOUHOKUの看板DJとなりリスナーさんからの人気も絶大である。

 人気者はどの世界でも伝説を持っているもの。彼も例外ではない。試合の実況ももちろんやるのだが、ZOZOマリンスタジアムで「今日は風が強いようです」と言って解説の方から「君はこの球場はじめてか?」とツッコミ入れられたり、この間は「イーグルスのピッチャーはかみじょうたけしです」とゲスト解説で横にいた僕を驚かせた。

 しかしこんなレベルは序の口、想像しただけで震えてしまう事件もある。2015年10月に東北のレジェンド斎藤隆さんがイーグルスドームで引退を発表するというその時に、どうやら斎藤隆さんは自分の口から引退という言葉をファンに伝えたいということで、くれぐれもラジオでは記者会見があるとだけ言ってほしいとの事だった。スタッフから「引退」という二文字だけは絶対に使わないでと言われた彼は自分の手に大きく「引退」と書き込んで放送にのぞんだのだが……。

 もちろん勘のいい方はもう察しがつきますよね? そうなんです。

「この後、斎藤隆選手がイーグルスドームで引退会見を行います!」

 ……凄いぞ、凄すぎるぞ河内一朗。すぐさま偉い方に呼び出され「君も引退する?」と肩をたたかれたのは言うまでもない。

そんな自らをも引退に追い込みかけた引退口走り事件から3ヶ月後の2016年1月、自主トレでアメリカから帰ってきていた田中将大投手が急遽ラジオに出るとの連絡が入った!