多機能製品の思わぬ落とし穴
そしてもうひとつ、ほとんどのスマートタグは1年程度はメンテナンスフリーで使えるのですが、多機能な製品ほど一般的に電池の消耗が激しいのもネックです。多機能でも長期間使えるようにしようとするあまり、大容量の電池を搭載し、結果として本体サイズの肥大化を招いているケースもあります。なるべく存在を感じさせないのがスマートタグの理想形ですので、この傾向は少々考えものです。
Amazonのレビューが低い理由は?
実はスマートタグと呼ばれるカテゴリの製品は、どれも共通して、Amazonなどのレビューにおける評価が低く、星5段階だとおおむね3前後であることがほとんどです。なかにはスマホとのリンクが頻繁に切断されるなど、品質面に問題がある製品もあるにはあるのですが、特に目につくのが、前述のような製品特性を理解せずに、自分の使い方に合っていない製品を購入したユーザによる苦情です。
例えば「MAMORIO」は、コンパクトさを最優先に設計された製品で、それゆえ電池の交換もできない使い切りタイプですが、レビューの中には、電池が交換できないことを理由に減点した書き込みが目立つ、といった具合です。
現在の技術では、機能と本体サイズ、電池の持ち、すべてを兼ね備えたスマートタグを設計するのは難しいのですが、ユーザは「ここがこうだったらいいのに」という不満としてレビューに投稿するため、結果としてどのスマートタグ製品も、一様に評価が低くなってしまっているというわけです。黎明期のカテゴリならではの現象ですが、それゆえAmazonの5段階評価の星の数を見ても、製品の完成度そのものを見抜きにくいことが、製品選びを難しくしています。
自分に合ったスマートタグを選ぶには?
では、自分に合ったスマートタグを選ぶにはどうすればよいでしょうか。もし目星をつけた製品があるならば、上で述べたような、自分が求める使い方に合致しているか確認するのがまずひとつ。その上で、例えばスマホとのリンクが頻繁に切断されないか、対応のスマホアプリが正常動作しないなど基本的な部分で問題点がないかを、5段階評価の星の数で判断するのではなく、ユーザの口コミでチェックするという手順を踏んで、製品を決定するべきでしょう。
スマートタグというジャンルに漠然と興味があるだけで、まだ候補を絞り切れていなければ、今回紹介した3製品のひとつ「MAMORIO」のような使い切りタイプを購入し、自分が求める使い方を把握するのがおすすめです。
多機能な製品は、サイズの大きさに嫌気が差して使わなくなることもしばしばで、機能や使い勝手を正しくチェックするには向きません。その点、小型軽量な「MAMORIO」はこうした用途にぴったりです。また、使い切ったあとは買い替えが必要になるため、自分に合っていなければ、そこで他製品に乗り換えるのも容易です。
今後スマートタグはますます進化し、幅広く普及することが予想されます。忘れ物や落とし物をITでいち早く解決したいというニーズにはぴったりなだけに、手近なところから使い始めてみて、その特徴を知ってみるのもよいのではないでしょうか。