山田哲人も、マイルールでは3年連続トリプルスリー!
やがて、僕は大人になった。さすがに、自分が世界の王さまでいられるマイ・パラレルワールドで暮らすことはなくなったけれど、それでも、今季もまた「マイルール」を適用する機会が増え、「長谷川パラレルスワローズ」は激闘を繰り広げている。
ラジオでもしゃべったけれど、「由規の1勝はチームに与える影響を考慮すると10勝分の価値がある」と僕は考えているので、6月14日の対楽天戦で由規が勝利投手となったことで、マイルールでは10勝とカウントされた。これだけで交流戦10連敗がチャラになってしまうのだ。あるいは、「成瀬善久の場合は4本打たれて、《被本塁打1》とする」というマイルールがあるので、今季被本塁打3本の成瀬は、リーチではあるけれども、いまだ「被本塁打0」となっている。あくまでも、マイルールでは。ちなみに、成瀬が先発した場合のみ発動される「NQS(ナルセ・クオリティ・スタート)」も、僕の中にはある。
2年連続トリプルスリーの山田哲人も、今季は不振にあえいでいる。けれども、トリプルスリーとは「3割、30本塁打、30盗塁」のことだ。さっそく僕は、それ以上の成績を残した場合は「翌年以降に繰り越せる」というマイルールを発動する。
2015年 .329(+.029) 38本塁打(+8本) 34盗塁(+4個)
2016年 .304(+.004) 38本塁打(+8本) 30盗塁(+-0個)
過去2年分の「繰り越し分」を合算すると、今年の山田はシーズン前にすでに、打率では「+.033」、本塁打では「+16本」、盗塁では「+4個」のアドバンテージがあるのだ。確かに今季は不調にあえいでいる。しかし、野球の神様は過去2年の山田の偉業に対して、最大限の敬意を払って、その奮闘を見守っているのである。
ここまで書いてきて、「お前はむなしくないのか?」とか、「現実逃避をするな!」とお怒りの方もいるだろう。しかし、10代の頃に身につけてしまったこの感覚。そう簡単にはなくなってくれないのだ。
6月20日現在、由規は2勝2敗。もちろん、マイルール上では20勝2敗。堂々たる2017年沢村賞候補であり、自身初となる最多勝のタイトルをほぼ手中に収めているのだ。
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