オールスターのファン投票及び選手間投票の結果が発表された。私が応援する阪神からは中継ぎ投手部門のマテオ、外野手の糸井嘉男、三塁手の鳥谷敬、捕手の梅野隆太郎が選出された。糸井と鳥谷はオールスター経験も豊富なベテラン選手だが、梅野とマテオは初出場である。特に梅野は阪神の生え抜き捕手としては、あの田淵幸一以来のファン投票1位。今季ここまで打撃成績は芳しくないものの、リーグトップの盗塁阻止率などが評価されたのだろう。

 そんな中、私としては残念な結果もあった。

 先発投手部門のファン投票で、阪神・メッセンジャーが3位に終わったことだ(選手間投票では3位以内にも入らなかった)。ちなみにファン投票1位は巨人・菅野智之の25万4949票(選手間投票でも1位の467票)、2位が中日・バルデスの19万7655票、そして3位のメッセンジャーは15万3945票。数字のうえでは完敗である。

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オールスターファン投票の先発投手部門で3位だったメッセンジャー ©文藝春秋

意外にもオールスター未出場のメッセンジャー

 この結果をもう少し詳しく見てみると、先発投手のファン投票数ベスト10のうち巨人の投手は菅野一人しかいないのに対して、阪神の投手は3位のメッセンジャーの他に6位の藤浪晋太郎(6万4939票)、8位の能見篤史(5万5999票)と、計3名も入っている。これはセ・リーグ最多であり、つまり票が分散したことを意味している。ここまでの成績ではメッセンジャーと秋山拓巳の二人が阪神先発陣の中では目立っているものの、ベテラン・能見の安定感や悩める大器・藤浪への期待感も、虎党には捨てがたいのだろう。

 しかし、今季のメッセンジャーは6月30日時点でセ・リーグトップの7勝(4敗、防御率2.97)を挙げており、5月の月間MVPも獲得しているだけに、なんとかしてオールスターに出場してもらいたい、と思ってしまう。

 なにしろ、彼はいまだにオールスターに出場したことが一度もないのである。本人はこれまで何度か「オールスターに出たい」という発言をしているものの、阪神の外国人投手としては彼より後輩にあたる呉昇桓(現カージナルス)や今季のマテオが先にオールスター出場を決めた一方で、もっとも貢献度が高いはずのメッセンジャーは未出場。厳しい現実だ。

あのウィリアムスでさえ出場できなかったオールスター外国人枠の壁

 この原因のひとつは、言うまでもなく外国人枠の問題だろう。現行のオールスターでは1チームにつき外国人選手は4名以内(投手、野手としてはそれぞれ3名以内)で、ファン投票での選出に関しては人数制限を設けないとされている。いずれにせよ、日本人選手に比べるとはるかに狭き門であるため、メッセンジャーほどの好投手でもなかなか選出されない。かつて2000年代中期から後期の阪神で一世を風靡した最強リリーフトリオ・JFKの一角であったジェフ・ウィリアムスも、計7年間の在籍であれほど優れた成績を残したにもかかわらず、オールスターには一度も選出されなかった。

 だからこそ、余計にメッセンジャーの勇姿を晴れ舞台で見てみたい。ファン投票と選手間投票の結果発表は終わってしまったが、監督推薦はまだ残されている。

 成績だけを見れば、今季のメッセンジャーは推薦されそうなものだ。しかし、他球団にも有力な外国人選手がいるため、やはり人数制限が気になってしまう。すでにファン投票で先述のマテオ、選手間投票で巨人・マギーが選ばれているから、通常なら全セの外国人選手は残り2名である。