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大谷起用を決断した栗山監督

 話は飛ぶようだが、大谷翔平だ。本稿執筆現在は7月12日未明、今季初先発のオリックス14回戦前(本当は試合を見て書きたかったが、締切の都合で今、書いている)である。どんなことになるのかわからないが、僕は究極の「俺が悪い」をこの目で見るのだと思っている。結果を僕は問わない。勝つのに越したことはないが、負けてもどうということはない。栗山さんはもちろん大谷を「流れを変えられる選手」だと評価しているだろう。そのインパクトが残せれば上出来だ。

 僕の見立てはこうだ。栗山監督は腹をくくった。大谷はあまりに価値が高騰しすぎて皆、大事を取るあまり、このままでは宙ぶらりんにしかならない。思えば最初に骨棘の手術に踏み切るべきだったのだ。商品価値を損なうことを怖れ、誰も決断しなかった。大谷に関し、何らかの決断をするのはリスクだ。あらゆる意味で責任が追及される。だから皆、回避する。ずっとリハビリになる。壊したら大ごとなのだ。

 栗山さんは「誰も決断しないんだな」と思ったはずだ。で、そんなら「俺のせい」でいいやと考えた。1軍に置いて、直接本人と状態を確かめながら使っていく。DHで出塁したら代走を使う。投球練習はブルペンでやらせる。こんなのちょっと例がないと思う。上からの反逆だ。あるいは栗山監督と大谷本人、たった2名の反乱軍。

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 僕はオリックス14回戦の投球を見ていない。栗山さんの決断がチームの士気にどういう影響をもたらすか、全体的なところはわからない。いいことばかりじゃないかもしれない。が、ここがポイントだ。今、ファイターズで起きていることはこう考えないと説明がつかない。

七夕の短冊 ©えのきどいちろう

 附記 七夕飾りの写真を掲載したが、実は北海道は8月七夕が一般的だ。しかも、子供らが「ローソク出せー、出せよー」と歌いながら近所の家をまわりお菓子をねだる、かなりハロウィンっぽい行事なのだ(!)。

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