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【イースタン・DeNA】1998年10月8日、池袋東口で

文春野球フレッシュオールスター2017

2017/07/13

ああ、これで優勝するんだな

 2死1塁から2つの四死球で満塁となり、打席には進藤が入る。実況が、甲子園の3塁側アルプス席と左翼席がベイファンで埋まっていることを告げる。阪神フィーバーの85年、横浜スタジアムの右翼席にも大量のトラキチが流れ込んできたのを知る身にはその様子が俄かには信じ難いが、事実進藤への大声援がスピーカーから聞こえてくる。こんな時でも苦い記憶ばかり思い出すのは大洋ファンの性だ。

「進藤打った! 1、2塁間を抜けてライト前! ローズに続いて2塁走者の佐伯もホームイン、4対3で逆転ー!」

 ああ、これで優勝するんだな。と思った。あとのことはよく覚えていない。

 コン、コン。扉を叩く音にハッと横を見ると警官が2人。窓を開けると「どこか具合でも悪いの?」「え?」「ずっとハンドルに突っ伏してたから」「いや、何でもないです」。

 バックミラーに映った目元は真っ赤だった。「大丈夫ならいいけど、ここ路駐禁止だから移動してね」。慌ててエンジンをかけた。

 ラジオからは権藤監督のインタビューが流れている。急遽横浜スタジアムのスタンドが開放され、遠藤と田代も駆けつけているらしい。僕は慣れない池袋東口でパーキングを探していた。

 98年10月8日、僕は甲子園球場にも、横浜スタジアムにさえも行くことができなかった。

甲子園球場で抱き合う佐々木主浩と谷繁元信 ©時事通信社

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