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2万円台に定着できない日経平均株価が意味すること

資産運用のカリスマが見た日経が報じた“あるニュース”との因果関係

2017/08/03
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日本企業のように今や世界が莫大なキャッシュを貯め込んでいる

 上場企業が事業活動によって利益を獲得して税金を支払った後に残ったキャッシュ。それが全世界で積み上がり1350兆円になったというのだ。地域別では米国が2兆8千億ドル、欧州が2兆1千億ドル、日本が1兆9千億ドル、中国が1兆7千億ドル……。

 上場企業がキャッシュを貯め込む、これも日本の特徴とされ、先行性を有しているといえるものだ。

 私はファンドマネージャー時代に次の質問をした。

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「御社は、いつ、どのように、利益を現金化出来るのでしょうか?」

 この質問を最も多くしたのは1990年代、インターネットバブル相場期だ。赤字のまま夢を追いかけ、飛ぶ鳥を落とす勢いの株価上昇を続けるネット企業たち。彼らのビジネスが将来どう利益となり、現金としてそれをどう手に出来るかを訊ねると、満足いく回答は得られなかった。その後、ネットバブルははじけ、20世紀が終わる頃、彼らの株価は一度地獄を見た。

 あれから20年近くが経ち、インターネットの夢は実現され、IT産業は世界の株式時価総額の多くを占め、利益、キャッシュを大きく稼げる存在になった。
それが1350兆円の源泉といってもいい。

株価が低迷を続けた企業に共通して聞いた質問とは?

 だがキャッシュの積み上がりは、問題なのだ。

「御社は現金を貯め込んでいらっしゃいますが、これは御社がもう成長投資をしない、出来ないということの表れではないでしょうか?」

 この質問をした企業の大半は株価が低迷を続けた。

 企業にとって成長は株価の最大の推進力だ。膨れ上がる手元現金の存在は成長への投資が出来なくなっていることを間違いなく意味する。

かつてキャッシュを貯め込むのは日本のお家芸だった ©iStock.com

 ネガティブ先行性を有する日経平均の膠着と世界の上場企業に膨れ上がったキャッシュの存在。

 気になるのは私だけだろうか。

2万円台に定着できない日経平均株価が意味すること

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