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「よそ者」のマイホームへの強烈な執着

 どうやら「住宅神話」という概念はこうしたプロセスを経て人々の間に浸透していったようだ。

 この法則は、住宅価格が頂点を迎えた平成初期まで続くことになる。都心では到底マイホームを買うことができない勤労者は、郊外へ郊外へと逃げ水を追うかの如くマイホームを買い求めていった。平成バブル時は人気のあるエリアのマンションであれば、競争率が100倍を超えることは決して珍しくなかった。

 それでも人々は住宅を何とか手に入れようとしたのだ。ここに地方出身者を中心とする、都会からみれば「よそ者」の「マイホーム」に対する強烈な執着が垣間見える。

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バブル期にマイホームを競って買った世代は今50歳代

 ところが、その後のバブル崩壊は、住宅に資産形成の夢を託した多くの勤労者を落胆させるものとなった。この時期にマイホームを買った多くの人々は今、50歳代になっている。多額の住宅ローンを抱えた彼らの多くは、今資産であったはずの住宅を売却しようにも、住宅ローンの残債のほうが売却額よりも多いという状況に陥っている人も多い。

 2020年を迎えようとしている現在、大都市に移住してきた地方出身者は今、「代替わり」の季節を迎えている。彼らの子供や孫たちは、地方とは関係のない「都会育ち」。土地やマイホームに対する執着は薄れつつある。そんな中、マイホームの価値はどのようになっていくのであろうか。

地方出身者は「代替わり」の季節を迎えている。彼らの子どもや孫たちは「都会育ち」だ。©iStock.com

※「負動産『逃げ切り世代』と『取り残され世代』の幸福格差──マイホーム価値革命 下」に続く