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地球を180周した“あのジャーナリスト”も

 2月29日生まれには、歳をとっても精神的な若さを誇った人もいる。昨年1月に90歳で亡くなった旅行家の兼高かおる(1928~2019)は、長寿番組『兼高かおる世界の旅』のスタッフだった映画監督の五十嵐匠に、《私は4年に1度しか年をとらないの。だって私の誕生日はうるう年の2月29日だもの》と笑いながらよく言っていたという(※8)。

1928年2月29日生まれのジャーナリスト・兼高かおる ©文藝春秋

 兼高は1959年から31年間放送された『兼高かおる世界の旅』で約150カ国を取材、地球を約180周した。番組終了後も年間100日は旅をする生活を送り、著述活動も積極的に行なっている。冒頭にあげた赤川次郎も旺盛な執筆活動で知られる。“13回目の誕生日”を迎えた2000年には著書が400冊に達した。いつまでも衰えない創作意欲もまた、精神的な若さの現れであり、そこにはやはり2月29日生まれであることが多少なりともかかわっているのではないか。同日生まれには、原田芳雄や吉岡聖恵がそうであるように、4年に1度しか来ないだけに誕生日を大切にする人も目立つ。それは人生を楽しもうという姿勢にもつながっているに違いない。

※1 赤川次郎『イマジネーション 今、もっとも必要なもの』(光文社文庫、2007年)
※2 峰竜太『かんべんして下さいヨ!』(集英社、2000年)
※3 原田芳雄『B級パラダイス 俺の昨日を少しだけ』(KKベストセラーズ、1982年)
※4 「原田芳雄さん“19回目”誕生日ライブ開催 記録映画の公開決定」(「ORICON NEWS」2016年3月1日配信)
※5 「辻村深月、脚本手掛けた『映画ドラえもん』公開が“誕生日”『伴走できて良かった』」(「映画.com」2019年3月2日配信)
※6 「いきものがかり・水野良樹の曲作りにとって、『吉岡聖恵の歌』はどんな存在なのか」(「J-WAVE NEWS」2020年1月9日配信)
※7 「吉岡聖恵、7歳の誕生日?5mケーキに感動」(「日テレNEWS24」2012年2月29日配信)
※8 五十嵐匠「プロのプライドと温かなおかゆ 兼高かおるさんを悼む」(『朝日新聞』2019年1月16日付夕刊)